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「サイ狩猟権」行使へ 米当局、実質OK 落札代で保護活動、死骸持ち込み許可

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「サイ狩猟権」行使へ 米当局、実質OK 落札代で保護活動、死骸持ち込み許可

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アフリカ南部ジンバブエのイミーレ野生動物保護区のクロサイ。背後ではレンジャーが監視の目を光らせている=2014年9月22日(ロイター)  米魚類野生生物局は29日までに、アフリカ南西部ナミビアで狩猟したクロサイの米国内への持ち込みを許可する方針を示した。ナミビア政府の委託を受けた米テキサス州の狩猟団体が死骸を“戦利品”として持ち帰ることなどを特典にクロサイの「狩猟権」のオークション(競売)を実施し、米政府が持ち込みを許可するかが焦点になっていた。ナミビア政府は落札代金の全てを絶滅危惧種であるクロサイの保護活動に充てる考えだが、動物の命を対価に保護資金を集めるやり方に対し、米国では反対運動が起きていた。

 「個体数増加に寄与」

 3月27日付の英BBC放送(電子版)などによると、米魚類野生生物局は許可の理由について、年老いたオスのサイを狩猟によって間引くことはサイの個体数の増加に寄与するなどと説明した。

 アフリカでは2007年以降、サイの密猟が横行し、クロサイは約5000頭に減少。このうち1500頭前後がナミビアで暮らしており、生息数では世界第3位を占める。

 米国には希少動物の保護を目的とした連邦法の「絶滅危惧種保護法」があるが、今回の行為は種の保存にプラスになるとして、法律に違反しないと判断した。

 世界の富裕層の中には、アフリカなどで「狩猟権」を高額で購入し、ライオンやゾウ、サイといった大型の野生動物を合法的に仕留め、毛皮や角などを戦利品(トロフィー)として持ち帰る「トロフィー・ハンティング」を好む人々がいる。アフリカでは、「狩猟権」の対価として支払われたカネが現地の希少動物の保護や恵まれない子供たちの生活向上に充てられる仕組みができ上がっている国もあり、今回の競売もこうした文脈で企画された。

 これに対し、「狩猟権」の競売が行われた昨年1月以降、米魚類野生生物局にはクロサイの死骸の持ち込みを許可しないよう求める請願が殺到。昨年11月時点で署名数は約15万2000人に達した。

 こうした事態を受け、競売を実施したテキサス州の「ダラス・サファリ・クラブ」は、落札者に代金を返した上で競売を取り消すことも検討。昨年12月には米魚類野生生物局に、「競売は、商業目的の狩猟を食い止めようとしているナミビア政府の努力を支援することにつながる」とする文書を送付したが、最終的にはこうした主張が認められる形になった。

 愛護団体が訴訟意向

 今回の米魚類野生生物局の判断に対し、動物愛護団体「全米人道協会」は「連邦政府の説明は矛盾しており、逆にクロサイの密猟を増加させる結果につながる」と強く批判している。

 BBCによると、米魚類野生生物局はナミビア政府から直接「狩猟権」を購入したラスベガスの投資家に対してもサイの死骸の持ち込みを許可。一方で、アフリカ南部ジンバブエからのゾウの死骸の持ち込みについては、種の保護につながらないとの理由で申請を却下した。

 競売で「狩猟権」を購入したのは米国人ハンターのコーリー・ノールトン氏だが、実際にいつ狩猟を行うかは不明だ。

 ノールトン氏は35万ドル(約4165万円)で権利を落札したが、昨年末の時点で「殺害」をほのめかす脅迫状が送り付けられ、米連邦捜査局(FBI)に家族の身の安全を訴え出ている。彼のフェイスブックには「冷血漢」「野蛮人」といった罵(ののし)りの投稿が後を絶たない状態という。

 今回の米当局の判断に対し、世界最大の動物愛護団体「PETA」は訴訟を起こす意向を示しており、今後、身動きが取れなくなる可能性もある。(SANKEI EXPRESS

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