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機密漏洩罪も適用 死刑の可能性 中国検察、周永康氏を起訴
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2012年11月の中国共産党大会の閉幕式に出席した周永康氏=中国・首都北京市西城区の人民大会堂(共同) 中国国営新華社通信によると、天津市人民検察院(地検)は3日、収賄と職権乱用、国家機密漏洩(ろうえい)の罪で、胡錦濤前指導部で共産党政治局常務委員(序列9位)として治安・司法部門トップを務めた周永康氏を起訴した。最高指導部である党政治局常務委員の経験者が汚職で追及されるのは、1949年の共産党政権発足以降、初めて。
反腐敗闘争を推し進める習近平国家主席は、起訴により権力基盤をさらに強化した。周被告は江沢民元国家主席に関係が近く、今後は郭伯雄・元中央軍事委員会副主席ら江派を含む元幹部への摘発をどこまで進めるかが焦点。指導部は主要国有企業幹部の摘発を推進する方針を示しており、反腐敗運動を軸に求心力を高めていく考えだ。
新華社通信が起訴状の内容として伝えたところでは、公安相などを歴任した周被告は、職務を利用し他人に便宜を図り、巨額の財物を違法に受け取ったほか、職権を乱用し国家と国民に重大な損失をもたらした。さらに故意に国家機密を漏らし、罪状は「特別に重い」とした。
初公判は2、3カ月以内に開かれ、早ければ今夏にも判決が出る可能性がある。
公判では薄煕来・元重慶市党委員会書記=収賄罪などで無期懲役確定=ら摘発された他の幹部との関係解明も焦点。周被告は2012年の党大会前、最高指導部入りを狙った薄元書記と結託、習氏の党総書記就任が内定していた人事を覆そうとした疑惑が取り沙汰されている。
今回の起訴では、故意による国家機密漏洩の罪が適用された。これまで失脚した党・政府高官に適用された前例がほとんどない罪名で、周被告が失脚に至った激しい権力闘争の中で、保身と反撃のために機密を漏らしたとの見方が浮上している。
北京の司法関係者によれば、「故意性」がわざわざ明示されたことは、外国要人らとの会談で口を滑らせたのではなく、意図的に誰かに国家機密を教えたことを意味するという。
これまでの国内外の報道などから周被告が漏らした機密について、(1)薄元書記に司法当局の捜査情報を事前に教えた(2)共産党指導者とその家族の不正蓄財に関する情報を米メディアにリークした(3)北朝鮮の高官だった張成沢氏と中国要人の会談内容を金正恩指導部に漏らし、その後の張氏一派の粛清につながった-という3つが指摘されている。その動機については、それぞれ(1)周、薄両氏がひそかに政治同盟を組んでいた(2)他の指導者を陥れようとしていた(3)周氏自身が北朝鮮への亡命を企てようとしていた-との可能性が浮かぶ。
13年秋に行われた薄元書記の裁判では、法廷でのやり取りの大半がインターネットで公開された。ただ、今回は国家機密漏洩の罪に関わる部分は非公開となる見通しだ。
収賄と職権乱用の罪を問われた薄元書記は無期懲役の判決を受けた。収賄規模や職権乱用の程度でいずれも薄氏を上回るとみられる周氏には、国家機密漏洩罪も加わり、死刑が言い渡されるとの見方も出ている。(SANKEI EXPRESS)