ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
経済
成田空港 LCC誘致で競争力アップ 簡素で安価 「第3ターミナル」オープン
更新
成田空港で開業した格安航空会社(LCC)専用「第3旅客ターミナル」。コスト削減のため、天井はむき出しで、電子案内板などもない。代わりに、陸上トラックのようなレーンを設け誘導する工夫が施されていた=2015年4月8日、千葉県成田市(蔵賢斗撮影) 成田空港に8日、格安航空会社(LCC)専用の「第3旅客ターミナル」が開業した。新ターミナルのオープンは、1992年12月の第2旅客ターミナル以来、22年4カ月ぶり。航空会社が負担する施設使用料を抑えるため、建設コストを極力削減したほか、24時間利用可能な休憩スペースを設けるなど早朝便に乗る利用者の利便性に配慮した。アジアの主要空港に加え、国際空港化が進む東京都心から近い羽田空港との競争が激化。存在感の低下が懸念されるなか、成田は「LCC誘致」で活路を開く構えだ。
午前3時半に開業すると、集まった利用客約100人から拍手が起きた。初便は午前6時15分ごろ、札幌に向けて飛び立った。
延べ床面積は約6万6000平方メートル。天井は配管類がむき出しで、機内に乗り込むための搭乗橋を省いて低廉な「エプロンルーフ」で代替。建設費は約150億円と、既存のターミナルに比べ1平方メートル当たりで4割減らした。簡素なつくりにしたことで、施設使用料は既存ターミナルの半額程度。利用客が支払う施設使用料も国内線出発は約14%(大人)安くした。
ただ、最寄りの鉄道駅がある第2旅客ターミナルからは500メートル以上離れ、重い荷物を持って歩くと15分近くかかる場合も。利用者からは「安く航空機を利用できるのなら、多少の不便さは仕方ない」(20代男性)との声が聞かれた。
成田に乗り入れるLCCは現在14社で、ジェットスター・ジャパン、バニラ・エア、春秋航空日本など5社が第3旅客ターミナルに移った。年間750万人の利用客に対応できる能力があるが、初年度は5社合計で約550万人の利用を見込む。成田国際空港会社(NAA)は、他のLCCにも利用を働きかけている。
成田がLCC誘致に力を入れる背景には存在感低下への危機感がある。
国内線が主体だった羽田は近年、国際線が拡充。昨年3月の発着枠拡大で、欧州や東南アジア向けの中長距離路線が昼間に利用可能になった。ビジネス客の利便性が高まり、欧州向けなどの便が羽田に移る「成田離れ」の動きが出た。
台頭著しいアジアの主要空港とのハブ(中核)空港の座をめぐる競争にも直面している。成田と羽田を合わせた国際線旅客数は、2011年に韓国の仁川空港やタイのバンコク空港に逆転され、香港空港、シンガポールのチャンギ空港を含めたアジアの主要5空港の中で最下位に転落した。
NAAの夏目誠社長は「LCCは、フルサービスの航空会社と並ぶ一つの大きな柱」と話す。成田の旅客便全体に占めるLCCの割合は、13年冬ダイヤの11.5%から、今年夏ダイヤでは24.1%に拡大した。LCC誘致をさらに加速させ、旅客や航空会社から「選ばれる空港」を目指す。(SANKEI EXPRESS)