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仏「人類最古のアート」 洞窟丸ごと精巧複製

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仏「人類最古のアート」 洞窟丸ごと精巧複製

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精巧に複製されたショーベ洞窟の壁画。この写真には欧州では絶滅したサイが描かれている。展示館では野生の牛や馬など400点にも及ぶ壁画が実物と同じように配置されている=2015年4月10日、フランス(AP)  人類最古級の洞窟壁画とされるフランス南部のショーベ洞窟を実物大で複製した展示館が完成し、今月末から公開されることになった。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産にも登録された洞窟が400を超える動物などの壁画とともにそっくりそのまま精巧に再現されており、先史時代の人類が残したアートを体験できる施設として人気を集めそうだ。

 野生動物を活写

 ショーベ洞窟には、現在の欧州では絶滅している野生の牛や馬、サイやハイエナなど1000点を超える壁画が残されているとみられ、膨大な数のため現在でも調査が続いている。年代測定の結果、これらの壁画は約3万~3万7000年前に描かれたとされ、スペイン北部のエルカスティージョ洞窟でみつかった4万800年よりも前に描かれたとみられる赤い丸の模様などとともに、人類最古級のアート作品とされている。

 ショーベ洞窟が傑出しているのは、洞窟の入り口が約2万3000年前に落盤でふさがれて外気が遮断されたため壁画の保存状態が極めて良好で、先史時代に描かれた動物たちの生き生きとした姿がそのまま残されていることだ。AP通信などによると、1994年12月に仲間2人とともに壁画を発見したフランスの洞窟研究者、ジャン=マリー・ショーベさん(62)は「印象的だったのは、鮮度の良さだった。(壁画を描いた)男性や女性がいままさに描き終えたばかりのようだった。(洞窟を)深くいけばいくほど、壁画は壮大になっていく。まさにアートギャラリーそのものだ」と話している。

 実物は非公開

 この奇跡的に保存されていた先史時代のアート作品が外気との接触で劣化しないよう、フランス政府は洞窟の一般公開を見送り、限られた研究者だけが調査を続けてきた。

 今回完成した展示館は本物の洞窟から約2キロ離れた山中にフランス政府が5600万ユーロ(約68億8000万円)かけて建設したもので、仏グラフィックアーティストのジル・トセロさんが実物を忠実に模写した壁画をみることができる。

 森で遊んでいた子供たちが偶然、野生の牛などが描かれた壁画を発見したことで知られるフランス南西部のラスコー洞窟を複製した展示館には年間30万人が訪れており、地元ではショーベ洞窟の展示館がそれを上回るアミューズメント施設になると期待している。(SANKEI EXPRESS

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