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ピリ辛「アート」 刺激的四川料理 如意

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ピリ辛「アート」 刺激的四川料理 如意

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前菜の盛り合わせは巣の中で卵を抱く鷹をイメージ。芸術作品のようだ=2015年3月20日、京都市東山区(南雲都撮影)  【京都うまいものめぐり】

 中華の中でも香辛料をきかせた辛さが持ち味の四川料理。そんな“本格四川”を堪能させてくれるレストランが如意(じょい)。ピリ辛が自慢の担々麺や豚肉のソースかけ「雲白肉」(うんぱいろう)は一度口にするとクセになるほどで、常連客は決まって注文するという。八坂神社のすぐ近くに位置するチャイニーズの館は、古都を訪れる観光客にちょっぴり刺激的な味覚を提供してくれる。

 巣の中で羽根広げる鷹

 玄関への導入部となる細長く薄暗い“隧道(すいどう)”をくぐると期待が膨らむ。店名「如意」を示す看板には英語の当て字「JOY」(喜び)と添えられているからだ。

 料理長の川原宏一さんは“四川料理の父”とされた陳建民氏(故人)の孫弟子に当たり長年京都市内のホテルで腕を振るったが、独立開業し一昨年8月にこの地に移転オープンした。

 その川原さんが腕によりをかけた前菜の盛り合わせ「什錦●(=手へんに餅のつくり)盆」は、意表を突く見事な“アート”。鷹が巣の中で羽根を広げて卵を抱く様子を、食材を使って巧みに創作した立体作品だ。まず鷹の胴体は鶏肉のささみをボイルして作り、クチバシは赤トウガラシ、目はグリンピース、アイラインはシイタケで表現。大きく広げた羽根には厚さ1~2ミリに切りそろえたシイタケや鴨ロース、イカやタコの蒲鉾、ふかした鶏卵を並べた。鷹が抱く卵はしょうゆ味の鶉(うずら)卵、巣は細切りしたジャガイモに片栗粉をつけて揚げた。

 作品を壊して食べるのが勿体ない逸品で、「結婚式や誕生日、卒業式などの記念日に注文されることが多く、サプライズ(驚き)を楽しんでもらえる」(川原さん)そうだ。

 短冊状のキュウリが「中和」

 「雲白肉」はほどよく脂身の載った豚バラ肉を薄切りにして蒸籠(せいろ)で蒸し、八角、桂皮などの香辛料とみじん切りのニンニク、しょうゆ、砂糖を合わせたタレと、自家製ラー油をかけた。皿の中央には約15センチの短冊状に切り水にさらしたキュウリをこんもりと盛り上げている。豚肉二、三枚とキュウリを一緒に口に含むと、ピリ辛味が舌の上に広がりキュウリがその辛さを中和してくれる。辛くてもなぜか箸が進む魔法のメニューだ。

 フカヒレの姿煮は背びれの部分を蒸籠で蒸した高級料理。カキの油やしょうゆ、紹興酒、ネギ油などを使った濃厚なソースがフカヒレに絡みつき、味わい深い。添え物のチンゲン菜とは食感が対照的だ。

 緑色が鮮やかな「翡翠海鮮」

 ガラスの容器に盛られて登場する「翡翠海鮮」なる献立は、海の幸と緑野菜の炒め。ホタテ、イカ、エビとブロッコリー、菜の花を油で揚げ、日本酒、塩、調味料などを混ぜて片栗粉でとろみを付けたタレに絡めた。タレは具材に均一にまとわりつき、中華味を主張する。見た目にブロッコリーの緑色が鮮やかなことから、翡翠に見立ててメニューに名付けたそうだ。

 「五目のおこげ」はカリカリのおこげに、熱々のあんかけをかけて味わうメニュー。あんかけにはタケノコ、チンゲン菜、シメジ、イカ、ホタテ、豚肉…と食材が豊富に使われ、「酢を2分の1さじ足してあっさり感を演出した」(川原さん)という工夫作だ。

 深いコクとほんのり甘みも

 名物の担々麺は鶏のスープをベースにし、表面に赤いラー油が浮き出る状態で提供される。麺に絡みつくスープには粘り気があり食欲をそそる。辛みが五感を刺激し汗ばむほどだが、辛さの中に深いコクとほんのり甘みも感じられ、やみつきになりそうだ。

 2階のテーブル席は天井が高く開放感があり、インテリアの木目調の棚は落ち着きを感じさせてくれる。「八坂神社や祇園に近い土地柄、観光客の皆さんに四川料理の醍醐味を提供したい」と川原さんは意気込む。(文:巽尚之/撮影:南雲都/SANKEI EXPRESS

 ■如意 京都市東山区祇園町北側347の154、(電)075・551・7502。営業時間は午後5時~9時30分。担々麺は1110円、「雲白肉」1420円など。コースメニューは5000円(価格はいずれも税込み)からで、予算に応じ相談に乗ってくれる。定休日は日曜、祝日。

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