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【統一地方選】北海道・大分「対決型」 与党が制す 知事選、すべて現職

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【統一地方選】北海道・大分「対決型」 与党が制す 知事選、すべて現職

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北海道知事選で当選を決め、支援者らに囲まれて万歳する現職の高橋はるみ氏=2015年4月12日、北海道札幌市(共同)  第18回統一地方選前半戦の投開票が12日行われ、自民、民主両党が別の候補を推す与野党対決となった北海道、大分の両知事選は、北海道で自民党道連と公明党道本部推薦の高橋はるみ氏(61)が道知事として初の4選を決め、大分も自民党県連と公明党県本部が推薦した広瀬勝貞氏(72)が4選を果たした。実施された10道県知事選で現職がすべて勝った。自民党は昨年から続いた滋賀、沖縄、佐賀各県知事選で敗北した流れを断ち切った。政令市長選で唯一の与野党対決となった札幌は、民主党などが推薦した秋元克広氏(59)が自民党推薦候補を破り初当選した。

 投開票されたのは北海道、大分はじめ神奈川、福井、三重、奈良、鳥取、島根、徳島、福岡の10道県知事選や、札幌、相模原、静岡、浜松、広島の5政令市長選、41道府県議選、17政令市議選。北海道、大分両知事選で与党は、現職の実績に加え、安倍晋三内閣の高支持率を追い風に組織力を生かし、支持層を確実に固めたことが勝因となった。

 与野党が相乗りで現職を推した6知事選では、神奈川の黒岩祐治氏(60)、福岡の小川洋氏(65)が再選。奈良の荒井正吾氏(70)と鳥取の平井伸治氏(53)が3選、福井の西川一誠氏(70)と徳島の飯泉嘉門氏(54)が4選した。

 民主党が「不戦敗」した2知事選は、三重の鈴木英敬氏(40)が再選。島根の溝口善兵衛氏(69)が3選した。

 政令市長選では、与野党の相乗りとなった相模原で加山俊夫氏(70)が3選し、広島の松井一実氏(62)が再選した。浜松は鈴木康友氏(57)が共産系候補を退け、3選を果たした。新人対決となった札幌では、民主党などが推す秋元氏が知名度の高い前市長との連携で幅広い支持を集め、道知事選を制した自民党に一矢を報いた。

 41道府県議選の総定数は2284。自民党は12日午後8時すぎの段階で山形、富山、佐賀で過半数獲得を決めた。民主党は、改選前の314議席の上積みを狙った。

 ≪自民 「負の連鎖」断ち切る≫

 自民党は、統一地方選前半戦の10道県知事選に全勝し、昨年来の滋賀、沖縄、佐賀各県の知事選敗北という「負の連鎖」を断ち切ることができた。野党系との対決型が少なかった分、高揚感は乏しい。この勢いを来年夏の参院選につなげたい考えだが、地方の地盤強化の余地は残っている。

 「大きな成果だ。景気回復の実感を一日も早く届けてほしいという期待感は大きかった」

 茂木(もてぎ)敏充選対委員長は12日夜、党本部で記者団にそう語った。全勝は既定路線だった。選挙戦終盤の6日には安倍晋三首相に電話で「10の知事選は全部いけそうだ」と報告。首相は「よかった」と応じている。

 自民党は、与野党系候補の対決型となった北海道と大分県に加え、民主党と相乗りだが一筋縄にいきそうになかった奈良県の3知事選を重点選挙にしていた。

 このうち北海道は「民主王国」。自民党は敗北が濃厚だった札幌市長選との連動を避けた。「両方を取りにいって知事選を落とすわけにはいかない」(幹部)からだ。その一方で道議選とは徹底的に連動させた。

 大分県知事選の勝利は、多くの首長が現職の広瀬勝貞氏を支援したことが大きい。1月の佐賀県知事選で官邸側が推した人物が敗北した反省から、自民党は応援弁士として閣僚らの投入を控え、「中央対地方」の構図にならないように腐心した。

 また、奈良県知事選は関西広域連合への参加の是非が争点になるはずだったが、不参加の姿勢をみせていた現職の荒井正吾氏が告示前に「部分参加」を表明。争点はぼけた。

 一方、維新の党が「大阪都構想」の住民投票の前哨戦と位置付けた大阪府・市議選では、自民党内にきしみが生じた。党府連から「都構想が成立すると大阪市議会議員の職がなくなる。都構想を否定しないと大変な流れを作ってしまう」(竹本直一府連会長)との悲鳴が漏れた。だが、党本部は「都構想は大阪が決めること」(幹部)と府連と距離を置いた。首相が都構想に理解を示しているからだ。

 参院は自民、公明両党の議席だけでは憲法改正の発議に必要な3分の2に届かない。憲法改正を唱える維新を敵に回すわけにいかない-。首相の本音はここにある。ただ、あからさまに維新に接近すれば、公明党の反発は確実だ。首相は今後、維新との間合いの取り方に頭を悩ませそうだ。(SANKEI EXPRESS

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