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政治
【統一地方選】無投票当選 「無関心」生む悪循環
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神奈川県知事選の投票をする有権者=2015年4月12日、神奈川県横浜市(栗橋隆悦撮影) 12日投開票の41道府県議選は、総定数に占める無投票当選の比率が過去最高の21.9%に達した。これまでも農村部を中心に無投票になる傾向はあったが、今回は神奈川で過去最高の無投票率となるなど都市部に波及し始めている。一方、投票率の低下傾向も強まるばかりで、有権者の地方選への関心の低さを浮き彫りにしており、今後に大きな課題を残した。
41道府県議選で無投票当選率が最も高かったのは香川で、定数41の65.9%に当たる27議席の当選が告示日に決まった。山形(45.5%)、宮崎(43.6%)が続き、神奈川は過去最高の18.1%。無投票当選がなかったのは大阪、山口の2府県だけだった。
過去に最も高かったのは1991年の21.8%で、前回の2011年は17.6%。地方選の無投票当選率の高さは、以前から指摘されてきた問題でもある。
政治学者の菅原琢氏は「無投票は昔から農村部で多かった。地方政界が一枚岩になっていて、対抗勢力が脆弱(ぜいじゃく)であるためだ」と指摘する。その上で「現在では、かつてよりも自治体と政界が『一枚岩的』だ。新人が立候補した場合に勝算がない地域が昔より増えている」との見方を示した。
地方自治が専門の中央学院大の福嶋浩彦教授は、民主党の公認候補が前回の約6割にとどまったことを踏まえ、「民主党の責任もある」と指摘した。同時に、魅力ある地方議会のあり方についても「少人数でもそれなりの報酬を出して専門的に議員をやってもらうのか、それとも定数を大幅に増やしてボランティアのような議会にするのか、どういう議会を目指すかが大事だ」と警鐘を鳴らした。
投票率も年々低下する一方だ。1947年の第1回の統一選以降の都道府県議選の投票率をみると、51年の82.99%が最高で、75年までは70%を超えていた。その後低下傾向が定着し、前回の2011年は過去最低の48.15%まで落ち込んだ。
選挙プランナーの松田馨氏は「最近は社会起業家やNPOなども認知されている」と述べ、政治家以外の社会的な役割が増大している現状を指摘。低投票率については「現在は社会が安定し、かつてのように政治で生活を変えようと考える人が少なくなっている」と分析した。
中央学院大の福嶋氏は「無投票当選が増えて選択肢がなくなると、住民はますます政治に無関心になり、投票率の低下にもつながって悪循環になる」と語った。(山本雄史/SANKEI EXPRESS)
≪橋下氏「奔走」 都構想実現へ決意≫
維新の党は、12日投開票の大阪府議選と大阪市議選を、5月に行われる「大阪都構想」住民投票の前哨戦と位置づけ、党最高顧問の橋下(はしもと)徹大阪市長が奔走した。2015年度予算の本会議採決を「病欠」した前後の行動に問題が浮上した上西(うえにし)小百合衆院議員(比例近畿)が選挙の“妨げ”になると見るや、大阪維新の会代表として党に先駆けて容赦なく除名処分にした。都構想への並々ならぬ決意を示すためだった。
「大阪維新の会が大敗すると、大阪都構想は進まなくなります。でも僕は大阪都構想、絶対にやり遂げないといけないと思っているんですよ」
大阪府・市議選の投開票前日の11日。橋下氏は大阪・難波の街頭でマイクを握ってこう訴え、懸命に支持を求めた。府市議選の結果が都構想の是非を決める5月17日の大阪市の住民投票に影響を及ぼすのは確実で、応援にも自然と力が入った。
府市議選告示日前日の2日に発覚した上西氏の不祥事への迅速な対応も、選挙や住民投票への悪影響を避けるためだったのは間違いない。
3日深夜、橋下氏は上西氏を記者会見に引っ張り出し、自らも同席して疑惑を追及した。3月13日の衆院本会議の前日夜、病気でありながら飲食店を「はしご」したことを上西氏に認めさせると、「まったくアウトだ」と批判。4日未明まで2時間半以上に及んだ会見は、「妥協を許さない橋下氏」を演出する場のようだった。
橋下氏の言動は「東京」の方針も変えた。江田憲司代表は2日の記者会見で「松野頼久幹事長を中心に事実関係を確認し、調査する。問題があれば厳正に対処していきたい」と党本部主導で対応する考えを示していた。
だが、橋下氏は「党がなんと言おうと大阪維新は上西氏を許さない」と頭越しに批判を強め、4日に大阪維新代表の権限で上西氏を除名とすると、党執行部も追随するように除名処分を決めた。
橋下氏は、憲法改正の必要性を訴え、安倍晋三政権への協力を惜しまない考えを強調してきた。大阪系国会議員の間では、都構想実現の暁には橋下氏の国政進出を期待する声が根強い。
逆に、大阪都構想が実現不可能な事態になれば橋下氏の政治力は大きく低下し、維新の党のみならず安倍政権の今後の運営にも影響を及ぼす。(内藤慎二/SANKEI EXPRESS)