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政治
【エコノナビ】地方創生に欠かせない議員の志
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先月末、地方議会の議員を長年務めている友人と会った。
「若手議員が質問しない。議会の委員会での議論がつまらない。何のために議員になったのか」
友人の議員の口からは若手議員らに対する不満がほとばしった。年配者によくありがちな「今の若い者は」的な批判かと思って聞いていたのだが、危機感は相当だった。
「地盤・看板・カネ」はなく、志だけで地方公務員から立候補。2度目の挑戦で当選し現在6期目。発想が豊かで、全国の政治家や企業経営者らとのネットワークを持ち、米国有数の投資会社の顧問なども務めている。そんな行動派の友人にとって、若手には本気度が足りないと感じるのだろう。
友人によれば、若手議員らは「支持者回りだけは熱心」なそうで、住民を行政につなぐ仲介者としての機能は果たしているようだ。
しかし、少子高齢化で地方都市が消滅するといわれている中で、支持者の既得権益を守る活動だけでは不十分。「勉強せず意見も持たずに『木を見て森を見ず』に陥っていては未来の子供らを育む地方再生などできはしない」と断言していた。
農協改革をめぐる政府・与党と全国農業協同組合中央会(JA全中)の議論の結果、全中の地域農協に対する監査・指導権を廃止することになった。一歩前進だが、農家以外でも農協の事業を利用できる準組合員に対する利用規制を導入するかどうかは結論を先送りした。
農協は農業振興よりも貯金や保険を主たる業務とする金融機関化しているところが多い。そして相当な数の議員らはそんな農協組織を集票マシンとして頼っている。農協改革がなかなか進まないのも当然の帰結なのだ。
今年4月には統一地方選がある。地方創生を担う政治家を選ぶ大事な選挙である。どんな基準で選ぶか。
「議員って面白い。ワクワク感がたまらない」
地方議会の議長を務めてもなお初当選時の気持ちを失わない友人を頼もしく思えた。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS)