SankeiBiz for mobile

写真で振り返るジャズシーン KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのエンタメ

写真で振り返るジャズシーン KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭

更新

ジョン・コルトレーン「ブルー・トレイン」のアルバムジャケットとなった1枚。(C)Mosaic_Images_LLC  京都が世界から注目される。今年で3回目となる「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」の季節がやってきた。このKYOTOGRAPHIEは、日本および海外の重要作家や貴重なコレクションを歴史的建造物や近現代建築で展示・展開し、伝統的工芸職人や最先端テクノロジーとのコラボも実現するなど京都ならではの特徴ある写真祭を目指している。作家のセレクトのユニークさ、京都だからこそできる会場の選定、日本を代表する都市での開催ということで、海外へも発信できるコンテンツとして熱い視線が注がれている。

 蔵・町家を活用し展示

 京都といえば寺社仏閣や、庭園、さらには和食で、日本人のみならず世界から集まる外国人観光客を魅了してきた。しかし、文化の推進という意味では数多くの美術館やギャラリーがしのぎを削る東京、トリエンナーレが行われる横浜、そして、21世紀美術館が健闘する金沢に比べると、その都市名の認知度に比べて随分後れをとってきたのではないだろうか? もちろん、京都にも美術館はあるし、文化的なイベントが行われてこなかったわけではない。関係者の貢献と功労を否定するつもりはないが、世界に名だたる都市が提案する展覧会やイベントのクオリティーが果たして、常に国際的な水準に達してきたかどうかははなはだ疑問である。

 言うまでもなく、伝統芸能は唯一無二の突出した質を確保しているだろうし、これまでも京都国立近代美術館では、レベルの高いアートが紹介されてきた。清水寺で行われたデニス・ホッパーの写真展は今も関係者の間では伝説となっているし、最近では金閣寺で行われた高級ブランド「グッチ」のバッグのアーカイブ展示が大きな話題となった。それでも…。都市が持つポテンシャルに比例した文化、特に現代アートへの理解とサポートは不十分であると言わざるを得ない。

 そんな“もったいない”状況の中、京都が持つ伸びしろを最大限に生かし、その可能性を実証したのがこのKYOTOGRAPHIEでもある。他都市では実現不可能な蔵や町家を活用した展示と世界基準のラインアップで、日本でも数少ない国際写真祭として頭角を現してきた。本年度は「TRIBE:あなたはどこにいるのか?」をテーマに、15会場に9カ国14組の作家が参加するという。

 TRIBEは部族を意味するが、単に血や地域といった先天的なつながりではなく、個々人の意思で結ばれたさまざまな視点からなる人間の集まりと解釈し、新しいTRIBEという視点の発見が、情報過多の現代において自分の立ち位置を来場者に見つめ直すきっかけにしてもらうという狙いがあるそうだ。

 新プロジェクトとコラボ

 銀座のシャネル・ネクサス・ホールで開催されたマルク・リブーの未発表作品「Alaska」の巡回、グッチのサポートによるヨシダ・キミコの日本初の作品展、一般初公開となる幕末に撮影された希少な武士の写真の虎屋ギャラリーでの展示、人種差別や貧困を扱いながら独特の世界を表現するロジャー・バレンの国内初個展など、今回のテーマがどういった形で表現されているのか非常に興味深い内容になっている。

 ちなみに、数多くのジャズ・ミュージシャンのポートレートを撮影し、ジャズの名門、ブルーノートのカバー・アートを手掛けてきたカメラマンの展示もプログラムに組み込まれている。「フランシス・ウルフとブルーノート・レコード展」では、トリミング前の写真プリントやコンビを組んでいたデザイナー、リード・マイルスの貴重な作品が披露される。実は、筆者のニュー・プロジェクト、KYOTO JAZZ SEXTETは、この展示とのコラボーレーションであり、本日発売されたアルバム『MISSION』に収録された8曲中5曲が、展示作品を使った名盤に収められた楽曲のカバーなのだ。

 情景のみならず、価値あるソフトでがぜん面白くなりそうな京都。桜散る頃にあえて古都を訪れることをおススメしたい。(クリエイティブ・ディレクター/DJ 沖野修也/SANKEI EXPRESS

 ■おきの・しゅうや クリエイティブ・ディレクター/DJ/執筆家。著書に『DJ選曲術』など。26日にハイアットリージェンシー京都、5月25日にビルボードライブ東京で、KYOTO JAZZ SEXTETのLIVEが決定している。

ランキング