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政治
TPP閣僚協議 日本開催で合意 TPA法案、米議会提出
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日米両政府は4月17日、甘利明(あまり・あきら)・環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)担当相(右)とマイケル・フロマン米通商代表による2国間協議を近く東京で開催することで合意した=2015年(共同) 日米両政府は17日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉をめぐり、甘利明(あまり・あきら)TPP担当相と米通商代表部(USTR)のフロマン代表による日米閣僚協議を東京で開催することで合意した。28日に予定される日米首脳会談を前に、TPP日米協議の政治決着を図りたい考え。これに先立ち、米議会の超党派の議員団は16日、TPP交渉の合意に不可欠とされる大統領貿易促進権限(TPA)法案を提出。TPP交渉が進展に向けて大きく動き出す可能性が出てきた。
15日から開かれた日米の事務レベル協議では、日本の重要農産品の関税の扱いや日米双方の自動車市場の開放に関して着地点を探った。甘利氏は17日午後、安倍晋三首相に協議状況を報告。その結果、TPP交渉の早期妥結を目指すため、日米協議を加速する必要があるという認識で一致し、19日にも日米閣僚協議を開催することにした。
一方、TPA法案は上院財政委員会のハッチ委員長(共和党)とワイデン筆頭理事(民主党)、下院歳入委員会のライアン委員長(共和党)が合意し、共同で提出。成立すれば2007年7月以来、約8年ぶりに大統領権限が復活することになる。
法案は、交渉が妥結した通商協定に関し、大統領が議会に修正なしの承認を求めることを最長6年間にわたって可能にする。また、ドル高で打撃を受ける輸出企業の意向を踏まえ、交渉相手国の為替操作防止に向けた条項も盛り込んだ。
≪「三度目の正直」へ早期成立不可欠≫
停滞していたTPP交渉が動きだした。交渉を主導する日米は閣僚協議の開催で合意。交渉の行方を左右するとされる米国のTPA法案も議会に提出された。交渉は一昨年の日本の参加以降、2年連続で越年を余儀なくされているが、“三度目の正直”にこぎ着けられるか-。
17日に終了した日米の事務レベル協議では、日本がコメの高関税を維持する代わりに、米国から現在の無関税枠とは別に主食用米の輸入を年間5万トン程度増やす特別枠の新設を提案。大幅な上積みを求める米国と厳しい調整を続けた。
日本が要求する米国の自動車部品関税の即時撤廃でも、対象品目の範囲とそれ以外の品目の関税撤廃を猶予する期間について協議した。日米が閣僚協議の開催で合意したのは、残された難題で一定の歩み寄りがあったためとみられる。日本の交渉筋は「進展が見込めなければ開催の意味がない」と説明していた。
ただ、閣僚協議で決着まで持ち込むのは「難しい」(交渉筋)との見方も多い。甘利明(あまり・あきら)TPP担当相は17日の記者会見で「日本の最終的な対応はTPA法案が成立しないと表明できない」と指摘。米国も国内事情への配慮から、同法案の成立までは最終的な条件を日本側に提示するのは難しいとみられている。
事情は交渉参加12カ国全体でも同じだ。12カ国は23日からワシントンで首席交渉官会合を開く予定だが、知的財産など難航分野で最終的な譲歩案を出し渋る参加国は多い。TPA法案が成立しなければ、米議会の反対で合意内容が覆されかねないからだ。
オバマ米大統領は「米国の経済に良い結果をもたらす通商交渉を後押しする」と法案提出を歓迎。法案は上院財政委員会で23日にも採決にかけられる見通しだが、民主党内で反対が根強く、下院の審議は難航も予想される。
来年、次期大統領選を控える米国の政治日程をにらみ、合意期限は「5~6月」ともされる中で、法案の早期成立が不可欠となっている。(本田誠、ワシントン 小雲規生/SANKEI EXPRESS)