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ダーウィン発見「珍獣」の謎解けた 化石からコラーゲン、起源分析

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ダーウィン発見「珍獣」の謎解けた 化石からコラーゲン、起源分析

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ゾウに似た鼻を持つマクラウケニアの想像図(ロイター)  サイのような体にカバに似た頭を持つ「トクソドン」。こぶのないラクダのような体にゾウに似た鼻を持つ「マクラウケニア」。英国の自然科学者、チャールズ・ダーウィン(1809~82年)が約180年前に南アメリカ大陸で化石を発見し、「進化論」をまとめるきっかけにもなった2体の珍獣の起源が最先端の科学分析によりこのほど、明らかになった。化石はいずれもDNA型鑑定ができない状態で、2体がどの哺乳類の系譜に属し、どこから南米にやってきたのか、ダーウィンの死後もずっと謎が解けない状態だった。

 進化論のきっかけに

 ダーウィンは1831~36年に英海軍の測量船「ビーグル号」で世界を周遊。途中に寄ったアルゼンチンで33~34年に南米固有種とみられる両珍獣の化石を発見した。

 トクソドンは、体長約2.7メートルで体高は1.2~1.5メートル。サイとカバを掛け合わせたような姿の大型草食哺乳類で、ネズミやリス、ビーバーなどの齧歯類に似た鋭い歯を持つ。

 マクラウケニアはこれより体長が大きく、約3メートル。ラクダに似た骨格を持ち、化石の形状からゾウほどではないにしろ、ある程度長い鼻をしていた可能性が高い。やはり草食の大型哺乳類で、高いところにある木の葉などを長い鼻でたぐり寄せて食べていたとみられている。

 ロイター通信によると、両珍獣ともに約1万年前に絶滅しており、科学者らが化石のDNA型鑑定を何度か試みたものの、いずれも成功には至らなかった。

 ダーウィンは、2体の珍獣が滅んだのが比較的最近であることから、2体と似た特徴を持つサイやカバ、ラクダやゾウはなぜ生き残り、この2体はなぜ絶滅したのかという考察を始め、自然淘汰(とうた)による進化論に行き着いたとされる。しかし、ダーウィンはこの2体が現存するどの哺乳類の系譜に属するかまでは解明できないままこの世を去り、その後の科学者たちもこの難題を解けないでいた。

 今回の研究では、化石の骨に残っていたわずかなコラーゲンを採取することに成功。これを分析した結果、2体がともに馬やバク、サイなどと同じグループに属することが判明した。研究に参加したアメリカ自然史博物館のロス・マカフィー氏は、「われわれは哺乳類の進化に関する最後に残された未解明の謎の一つを解明できた」と述べた。

 恐竜絶滅後、北米から流入

 2体の起源についてはこれまで、ゾウやツチブタなどと同じアフリカとする説と、アルマジロやナマケモノなどと同じ南米とする説が唱えられてきた。しかし、マカフィー氏によると、今回の発見によって、両珍獣は恐竜が滅んだ約6500万年前に北米から南米に流入してきたと推定できることが分かった。この仲間にはゾウと同じ大きさの巨大なナマケモノやサーベルのような鋭い歯を持つ有袋目の哺乳類などが含まれる。

 トクソドンとマクラウケニアは南米大陸で支配的な地位を得ていたが、約300万年前にパナマ地峡を介してつながった北米大陸から奇蹄類、長鼻類などの新種の哺乳類が流入。多数の種が生存競争に敗れる中で生き残りに成功した。だが、元をたどれば自分たち自身がはるか以前に北米から移り住んだ“入植組”だったことになる。最終的に両珍獣を滅ぼしたのは寒冷化などの地球の環境変化だった。(SANKEI EXPRESS

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