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日本のエネルギーを考える(上) 消費地域と立地地域対話で「気づき」

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日本のエネルギーを考える(上) 消費地域と立地地域対話で「気づき」

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フォーラム「日本のエネルギーを考える~核燃料サイクル施設の立地地域と電力の消費地域の対話~」に参加した学生ら=2015(平成27)年2月28日、東京都内(有志学生記者撮影)  【Campus新聞】

 少資源国日本にとって、エネルギーの安定供給を確保する上で重要な役割を果たすと期待されているのが、「核燃料サイクル」だ。原子力発電で発生した使用済み核燃料から再利用可能なウランとプルトニウムを取り出して新たな燃料に加工し、繰り返し利用するとともに、再利用するまで使用済み核燃料を中間貯蔵する事業だ。青森県六ケ所村とむつ市に関連施設が立地している。2015(平成27)年2月28日に都内で開かれたフォーラム「日本のエネルギーを考える~核燃料サイクル施設の立地地域と電力の消費地域の対話~」に電力消費地域と施設立地地域の学生たちが参加し、核燃料サイクルについての理解を深めた。

 □今週のリポーター 有志学生記者

 ≪安定供給と環境配慮を進めていく≫

 ■経済産業省資源エネルギー庁 神宮勉さん

 「核燃料サイクルについて理解を深めてもらい、日本のエネルギーについて考える機会になればと思っています」

 2月28日に開かれたフォーラム「日本のエネルギーを考える」の冒頭で、経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部核燃料サイクル産業立地対策室長の神宮勉さんは、こう語った。

 日本は今、エネルギーに関するさまざまな問題を抱えているという。日本のエネルギー自給率は東日本大震災前の2010年の19.9%から大幅に低下し、12年は6.0%となった。これはOECD加盟国34カ国中33位の低さだ。日本は1973年の第1次オイルショック以降、石油だけに頼らず、石炭や天然ガス、原子力発電を増やすなどして電源を確保してきたが、福島第1原発事故の影響で、原発の稼働が停止し、海外から輸入した化石燃料による電力に頼るしかなくなっているためだ。輸入化石燃料の費用の増加は、1日約100億円に上り、国民生活に大きな影響を及ぼしている。また、化石燃料を燃やすと二酸化炭素(CO2)の排出量も増加するので、環境への影響も大きくなる。

 「福島第1原発の事故を踏まえて、安全性の確保を第一に原発を活用し、経済効率の良いエネルギーの安定供給とCO2削減による環境への配慮を進めていくことが、今後のエネルギー政策の方針です」と、神宮さんは言う。

 少資源国の日本は、国際社会と協調し安定した社会を築いていくうえでも、安定した電源の確保が欠かせないと感じた。

 ≪使用済み核燃料有効活用を≫

 ■東京都市大学大学院教授 高木直行さん

 東京都市大学大学院教授の高木直行さんはフォーラムで、“原子力エネルギーのリサイクル”である核燃料サイクルの意義を強調した。

 高木さんは「ペットボトルや紙などは残存価値があれば、ゴミでもリサイクルされるように、使用済みの核燃料に残存価値があれば、エネルギーとして有効活用でき、エネルギー自給率を高めるのに役立ちます。また、エネルギー自給率が高まれば、化石燃料への依存度は低下し、CO2排出量も抑えられます」と説明した。

 また高木さんは「核燃料サイクルの将来を見据えると、高速炉が必要になります。現在の軽水炉では99%のウランは廃棄物となりますが、高速炉を利用すれば、資源利用率が70%くらいに高まるからです。核燃料サイクルと高速炉を組み合わせることで、燃料をより効率的に使うことができ、廃棄物を再利用することが可能になるのです」と続けた。

 高速炉の実用化には課題も多いが、将来の安定した日本のエネルギー供給を支える大きな可能性を秘めていると感じた。(今週のリポーター:有志学生記者/SANKEI EXPRESS

               

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