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安保法案審議入り 首相「抑止力高まる」 3つの焦点絞り込み 与野党攻防

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安保法案審議入り 首相「抑止力高まる」 3つの焦点絞り込み 与野党攻防

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衆院本会議で民主党の枝野幸男(ゆきお)幹事長(手前)の質問を聞く(後ろ右から)安倍晋三(しんぞう)首相、中谷元(げん)防衛相、岸田文雄外相=2015年5月26日午後、国会・衆院本会議場(酒巻俊介撮影)  集団的自衛権の行使容認を含む新たな安全保障法制の関連法案が26日、衆院本会議で審議入りした。安倍晋三首相(60)は「グレーゾーンから集団的自衛権まであらゆる事態に切れ目のない対応を行うことが可能になる」と法案の意義を説明し、「今国会での確実な成立を期していく」と早期成立に意欲を示した。

 その上で「現在の法制では日本のため任務につく米軍が攻撃を受けても日本は何もできない。日米同盟が完全に機能すると示すことで抑止力が高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなる」と述べ、抑止力強化の必要性を訴えた。

 集団的自衛権を含む武力行使の新3要件については「国際的にも例のない厳しい基準で、恣意(しい)的に解釈できるものではない」と強調。行使の具体例に機雷掃海を挙げ「民間船舶の防護が目的だ」と述べた。また「イラク戦争のように敵地に攻め入る行為への参加は憲法上、認められない」と重ねて説明した。

 法案は武力攻撃事態法など改正10法案を一括した「平和安全法制整備法案」と、国際平和のために活動する他国軍の後方支援を随時可能とする新法「国際平和支援法案」。27日に衆院平和安全法制特別委員会で実質的な審議が始まる。

 ≪3つの焦点絞り込み 与野党攻防≫

 集団的自衛権の行使容認を含む安保関連法案の審議で、野党は「自衛官のリスク」「集団的自衛権行使の領域」「米国の戦争への巻き込まれ論」と3つに焦点を絞り政府側を追及。討論の核心部分をまとめた。

 自衛官のリスク

 「わが国の有事は言うに及ばず、国連平和維持活動(PKO)や災害派遣などの任務も命がけであり、自衛隊員は限界に近いリスクを負っている」

 安倍晋三首相は26日の衆院本会議で、現場の自衛官が常に高い危険と隣り合わせで、任務に当たっていると強調した。

 安保法制の整備による「自衛官のリスク」をめぐっては、民主党の岡田克也代表(61)が「自衛隊のリスクは飛躍的に高まる」と批判。菅義偉(すが・よしひで)官房長官(66)が「抑止力が高まる。相手が攻めてこなくなる」と反論した経緯がある。

 新たな安保法制では、自衛隊が後方支援をする地域の近くで戦闘行為が行われれば、自衛隊は現場指揮官の判断で一時撤退する安全確保策を盛り込んだ。首相は「それでもリスクは残る」と指摘し「リスクを認識しているからこそ専門知識を養い、厳しい訓練を行っている」と説明した。

 中谷元(げん)防衛相(57)は「補給・輸送などの支援活動は危険を回避し、活動の安全を確保した上で実施するものだ。不測の事態に際し、自分や他の自衛隊員などの生命や身体の防護のためやむを得ない必要がある場合、武器使用が可能だ」と補足した。

 行使の「領域」

 民主党の枝野幸男(ゆきお)幹事長(50)は、他国領域での自衛隊の武力行使をめぐる首相と中谷氏の発言に矛盾があるとして「世論をミスリードする発言だ」と詰め寄った。

 中谷氏が「武力行使の新3要件」を満たせば他国領域でも行使可能だと説明したのに対し、首相は20日の党首討論で「一般的に認められていない」とし、例外として停戦前の機雷掃海を挙げた。枝野氏はこの点で食い違うと指摘したのだ。

 首相は26日の答弁で「機雷掃海は『一般』の外といったように、実態は水中の危険物から民間船舶を防護し、安全航行を確保するのが目的で受動的、限定的行為だ。外国の領域であっても新3要件を満たすことはあり得る」と反論。枝野氏が首相の発言を「ミスリード」と決めつけたことに「指摘は当たらない」とも付け加えた。

 巻き込まれ論

 最後に質問に立った共産党の志位(しい)和夫委員長(60)は「米国の言われるままに集団的自衛権を発動することになるのは明らかだ」と糾弾し、徹底審議のうえ廃案にすると意気込んだ。

 首相は「憲法上、わが国の武力行使が許されるのは、あくまで新3要件を満たす場合に限られる」と指摘。要件が満たされなければ「米国からの集団的自衛権の行使の要請があったとしても断るのは当然のことだ」と断言した。

 さらに首相は「実際に武力行使を行うため自衛隊に防衛出動を命じるに際しては、国会承認を求める。新3要件を満たすか否かの判断は、わが国が主体的に行い、米国に言われるままに武力行使することは断じてない」と述べ、厳格な法制に加え、重層的な手続きを必要としていることを強調した。

 一部の野党やマスコミは「巻き込まれ論」を展開、不安をあおろうとしている。しかし、実態は米国をつなぎ止めるために、いかに米国を「巻き込む」かということが日本の安全保障政策の根幹だ。「これをうまく説明するには『中国の脅威』を明言しなくてはならない。それを言えないのが悩ましい」(自民党国防族)と指摘した。(SANKEI EXPRESS

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