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「切れ目ない備え」14年の悲願 新たな安保法案を閣議決定

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「切れ目ない備え」14年の悲願 新たな安保法案を閣議決定

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新たな安全保障関連法案を閣議決定し、記者会見で意義を説明する安倍晋三(しんぞう)首相=2015年5月14日午後、首相官邸(酒巻俊介撮影)  政府は14日の臨時閣議で、自衛隊の役割を大きく変える新たな安全保障法制の関連法案を決定した。歴代政権が禁じてきた集団的自衛権行使の限定容認を含んでおり、戦後の安全保障政策の歴史的転換に踏み切る内容だ。安倍晋三首相(60)は閣議後に記者会見し、北朝鮮による核・ミサイル開発などを挙げ「厳しい現実から目を背けることはできない。日本人の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う」と法制化の必要性を強調した。政府は15日に法案を衆院へ提出し、今月下旬から与野党の論戦が本格化する。

 米戦争「巻き込まれない」

 法案は自衛隊法や武力攻撃事態法、周辺事態法、国連平和維持活動(PKO)協力法など10法の改正案を一括した「平和安全法制整備法案」と、国際平和のために活動する他国軍の後方支援を随時可能とする新法「国際平和支援法案」の2本。

 首相は集団的自衛権を行使すべき事態について、「日本近海で米軍が攻撃される状況は人ごとではない。私たち自身の危機だ」と指摘。「日本が危険にさらされたときには日米同盟が完全に機能する。そのことを世界に発信することで抑止力はさらに高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなる」と述べ、安保法制の整備によって、さらに強固な同盟関係を構築する意義を強調した。

 首相は、野党などによる批判を念頭に「米国の戦争に巻き込まれることは絶対にあり得ない。日米安保条約を改定したときも国連平和維持活動(PKO)協力法を制定したときも、戦争に巻き込まれるとの批判が噴出した。そうした批判が全く的外れだったことは歴史が証明している」と強調。安保法制を「戦争法案」とする批判には「無責任なレッテル貼りは全くの誤りだ」と反論した。

 首相はまた、シリアやイラクにおけるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」掃討作戦に関し、「われわれが後方支援することはない」と明言した。

 岡崎、小松両氏の遺志

 集団的自衛権行使を限定容認する安全保障法制の整備は、「国民の命と平和な暮らしを守り抜くため」(首相)に、より対等で堅牢(けんろう)な日米同盟の構築を目指す首相の悲願だ。

 「まだ法案審議はこれからだが、第1次政権時代の平成18(2006)年から9年越しの課題だったからね」

 首相は最近、周囲にこう振り返った。それどころか、首相が官房副長官時代の01年4月、就任記者会見に臨む小泉純一郎首相(73)を説得して集団的自衛権の政府解釈見直しに言及させたことを起点にすれば、14年がかりの一大事業だ。

 このとき、首相と一緒に小泉氏を説き伏せたのが昨年10月に84歳で死去した外交評論家、岡崎久彦氏だった。

 「岡崎さんの執念があったからここまで来た。岡崎さんと小松さんがいなければ、ここまで到達できなかった。小松さんは外務省から単身、内閣法制局に乗り込んで大変だったろう」

 首相がこう話す「小松さん」とは、やはり昨年6月に63歳で死去した小松一郎前内閣法制局長官のことだ。首相は抵抗する内閣法制局に風穴を開けるため、国際法の専門家ではあるが法制局勤務経験のない駐仏大使だった小松氏を、あえて長官に据えた。

 小松氏は、後に重い病が発覚してからも集団的自衛権の限定容認に道筋をつけるまで長官を続け、文字通り身命(しんめい)を賭(と)した。首相にとって今回の安保法制の整備は、年来の信念であると同時に2人の遺志を継ぎ、彼らがまいた種を収穫するという責務でもある。

 今後の法案審議では、反発を強める野党との全面対決が待ち受けている。だが、訪米時にハーバード大で行った講演で「改革には抵抗がつきものだ」と語ったように、首相はまったく意に介していないようだ。(SANKEI EXPRESS

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