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【安倍政権考】日米の「心の紐帯」を体現

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【安倍政権考】日米の「心の紐帯」を体現

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安倍晋三(しんぞう)首相の米議会演説で紹介され、握手を交わす新藤(しんどう)義孝前総務相(左端)とローレンス・スノーデン氏=2015年4月29日、米国・首都ワシントン(ロイター)  安倍晋三首相(60)は、日本の首相として前例のない米議会上下両院合同会議での演説「希望の同盟へ」で、米国から高い評価を勝ち取った。敵対国から同盟関係になった日米の「心の紐帯(ちゅうたい)」を訴え、新時代の日米関係へ導いた安倍演説は、米国を引き寄せた歴史的成果として日本外交史に刻まれるはずだ。

 演説後も称賛

 首相の演説は約45分にわたった。実は予定時間より5分オーバーしている。首相は演説に際し、何度も予行練習を重ねた。それでも予定通りいかなかったのは、スタンディングオベーションが14回もあったからだ。

 スタンディングオベーションには、米議員団の「外交的儀礼」と冷ややかな見方もある。だが、演説後の様子からも称賛は明らかだ。演説を終え、議場を引き揚げようとする首相の回りには人だかりができ、多くの議員が握手を求めた。なかにはサインをねだる議員もいたようだ。おかげで首相は10分以上も議場から出られなかった。少なくない米議員が演説を「評価」したのは間違いない。

 演説場所の下院本会議場は500人を超える両院議員で埋め尽くされ、2階の傍聴席もほぼ満席だった。

 「みなさま、いまギャラリーに、ローレンス・スノーデン海兵隊中将がお座りです」

 スノーデン氏は先の大戦で米海兵隊大尉として中隊を率い、硫黄島(いおうとう)に上陸した。傍聴席のスノーデン氏が立ち上がると、議員団は再びスタンディングオベーションで敬意を表した。90歳を超えるスノーデン氏にぴったり寄り添い、その腕を支えていたのが首相の盟友、新藤(しんどう)義孝前総務相(57)だった。新藤氏の祖父は硫黄島で旧日本軍を率いた栗林忠道(ただみち)大将。70年の時空を超え、かつて敵同士として憎み合った日米の「心の紐帯」を体現するシーンだった。

 首相は演説で先の大戦について「悔悟」と表現して犠牲者に哀悼の意をささげ、歴史を直視する姿勢を揺るがせなかった。米国内に広がりつつあった首相に対する「歴史修正主義者」という懸念が払拭されたのは、この際の議員団によるスタンディングオベーションが立証している。

 これを苦々しい思いで見ていたのが、歴史認識で首相を批判してきた韓国である。

 韓国の圧力

 「正しい歴史認識を通じ、周辺国との真の和解と協力を成し遂げる転換点になり得たのに、そうした認識も心からのおわびもなく、非常に遺憾に思う」

 韓国外務省は4月30日の報道官声明で演説をこう批判した。韓国は国ぐるみで首相訪米に対抗する反日工作を仕掛けていただけに、その悔しさは相当なものだろう。

 日本政府は今回、米国社会に根付く韓国系の圧力をはね返し、演説の機会をもぎ取った。小泉純一郎政権時代にも演説を模索したが、靖国神社参拝を理由にされ、実現には至らなかった。しかし、今回は米議会への働きかけが功を奏し、米議会による招待にこぎ着けた。

 この背景には、米国の軍事力、国力が相対的に落ち込む中、アジア太平洋地域での覇権主義をむき出しにする中国に対抗するには、日本の力に頼らざるを得ないという事情がある。そして歴代政権が目を背けてきた集団的自衛権の行使容認をはじめ、日米同盟を強化するための安全保障法制に取り組む安倍首相が、米国にとって頼もしく見えたのだろう。

 そしてもう一つの成果は、バラク・オバマ米大統領(53)と信頼関係を構築したことだ。安倍政権内では「日本に冷淡」(政府関係者)とみられがちだったオバマ氏だが、今回の首脳会談で明らかに態度が変わった。首相が差し伸べた手をようやくオバマ氏が固く握ったのである。(峯匡孝/SANKEI EXPRESS

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