ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
経済
東京円122円後半 7年10カ月ぶり安値
更新
東京外国為替市場の円相場が7年10カ月ぶりの円安水準をつけた5月26日、東京株式市場の動きを示す株価ボードには値上がり銘柄と値下がり銘柄が交錯した=2015年、東京都内(AP) 26日の東京外国為替市場の円相場は、米国の年内利上げ観測が強まったことを背景にドル買い円売りが進み、一時、2007年7月以来、約7年10カ月ぶりの円安ドル高水準となる1ドル=122円75銭をつけた。市場ではさらに円安が進むとの見方もある。輸入品の価格上昇による中小企業や家計への悪影響を懸念する声が強まりそうだ。
菅義偉(すが・よしひで)官房長官(66)は26日の記者会見で、日本経済への影響に関し「想定の範囲内だろう」と指摘。「急激な為替相場の変動は望ましくないとされているが、(今回の円安進行は)急激な変動に当たるとは見ていない」と述べた。
米連邦準備制度理事会(FRB)のスタンレー・フィッシャー副議長(71)が日本時間26日未明の講演で、段階的利上げ方針に触れたことから、日米金利差の拡大を見込んだドル買い円売りが午前中から優勢となった。
午後に入り、欧州勢が市場に参加すると一段のドル買い円売りが進んだ。「ギリシャ債務問題を嫌気したドル買いユーロ売りが、円ドル相場に波及した」(外為ブローカー)との声も聞かれた。
年内の米利上げ観測が再び強まっていることを背景に、外国為替市場の円相場が約7年10カ月ぶりの円安ドル高水準を付けた。市場にはさらに円安が進むとの見方もあり、輸入品価格の上昇による中小企業や家計への悪影響が懸念される。
今回の円安のきっかけとなったのは、22日の米連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長(68)による「年内のどこかで利上げするのが適切」との発言だ。さえない経済指標が相次ぎ、市場では米利上げ時期が来年以降にずれ込むとの見方が強まっていたが、議長発言で再び年内利上げ期待が高まった。
円安は輸出企業にとって採算改善や競争力強化という恩恵がある一方、家計や中小企業のコスト増につながる側面もある。
みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「2014年がマイナス成長になったのは円安による輸入物価の上昇などで個人消費が低迷したためだ」と指摘。「年内に1ドル=130円まで円安が進む可能性もある。もはや円安は日本経済にとってプラスではない」と警告する。
過度な円安ドル高には米国も神経をとがらせている。米国では今年1~3月期の経済成長が急減速したが、その一因とされるのがドル高による輸出企業の業績悪化だ。
円やユーロに対しドルの独歩高が続く現状への不満が高まっており、27日にドイツ・ドレスデンで開幕する先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で「米国がドル高是正を訴えてもおかしくない」(外交筋)との声も出始めた。(SANKEI EXPRESS)