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三菱UFJ 邦銀初の最終益1兆円超 大手5行合計は3.4%減

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三菱UFJ 邦銀初の最終益1兆円超 大手5行合計は3.4%減

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記者会見する三菱東京UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長(中央)=2015年5月15日、東京都中央区日本橋本石町の日本銀行本店(飯田耕司撮影)  大手銀行5グループの2015年3月期連結決算が15日、出そろった。最終利益の合計は、金利低下による利ざや縮小や、不良債権処理費用の増加が響き、前期比3.4%減の2兆7704億円と減少した。三菱UFJフィナンシャル・グループは5.0%増の1兆337億円と伸び、邦銀で初めて1兆円を超えた。大手銀行グループの最終利益の合計が減少したのは、リーマン・ショックの影響で赤字転落した09年3月期以来6年ぶり。国内企業は好業績が相次いでいるが、銀行への恩恵は限定的だった。

 最高益を更新した三菱UFJは海外部門が牽引(けんいん)した。平野信行社長(63)は「円安効果や(買収した)アユタヤ銀行の連結化が大きかった」と述べた。

 三井住友フィナンシャルグループは、株式売却益の減少などで9.8%減の7536億円、みずほフィナンシャルグループは11.1%減の6119億円となり、三菱UFJとは明暗を分けた。

 みずほは経営難のシャープ向けの不良債権処理費用が膨らんだことや、法人税減税に伴う会計上の損失計上が影響した。

 三井住友トラスト・ホールディングスは16.0%増の1596億円と好調。りそなホールディングスは4.2%減の2114億円だった。

 今期は縮小予想

 本業のもうけを示す実質業務純益は5グループの傘下銀行の合計で9.2%増の3兆1771億円となった。多くの銀行で海外貸し出しが増加したことが貢献した。

 16年3月期の最終利益の予想は、5グループの合計で2兆6800億円と縮小する見通し。三井住友、みずほ、三井住友トラストは増益予想だが、三菱UFJとりそなは減益を見込んだ。

 ≪海外シフト浮き彫り 国内では利ざや稼げず≫

 大手銀行5グループの2015年3月期連結決算は、海外事業が業績を下支えする状況が一段と鮮明になった。国内業務は、企業業績が回復しているものの資金需要の盛り上がりは鈍く、利ざや縮小が止まらない。特にメガバンクは海外展開を加速しており、当面は利益拡大の大部分を海外業務に依存する状況が続きそうだ。

 三井住友フィナンシャルグループの宮田孝一社長(61)は「国内の貸し出し利ざやは、縮小スピードが落ちてきたものの止まっていない。(縮小分は)海外での貸し出しで埋めた」と説明した。

 日銀によると、国内貸し出しは増加を続け、業種や地域的な広がりも出てきた。だが貸出先を拡大しようとする銀行間の競争は激しく、利ざや縮小分を貸し出しの増加で補う状況には至っていない。

 2年連続ゼロ割り込む

 本業である国内貸し出しなどの資金運用利回りから、預金金利など資金調達コストを差し引いた総資金利ざやは、銀行単体で、三菱UFJフィナンシャル・グループがマイナス0.06%と2年連続でゼロを割り込んだ。みずほフィナンシャルグループもマイナス0.07%となった。

 これを補ったのが海外業務だ。三菱UFJは、海外金融機関の合併・買収(M&A)で他のグループに先行しており、これが邦銀初の最終利益1兆円超えの原動力となった。15年3月期の連結最終利益1兆337億円のうち、約2割を海外で稼いだ計算になる。

 三井住友は成長が見込まれるアジアを中心に攻勢をかける。インドネシアの年金貯蓄銀行やカンボジアのアクレダ銀行に出資。みずほも北米やアジアでの貸し出し増加に力を入れている。(SANKEI EXPRESS

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