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【勿忘草】保護犬カフェ
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最近お気に入りのカフェがある。ゆったりとしたソファ席でこだわりのコーヒーがいただける。かわいいどころがそろうスタッフは、機嫌が良いと私のひざの上に乗って愛嬌(あいきょう)を振りまいてくれたり、安心して昼寝をしてくれたりする。そう、そこは犬が「スタッフ」のカフェ。しかもその犬たちはさまざまな事情から、このカフェの運営母体であるNPO法人に保護されてきた子たちだ。
「保護犬カフェ」と呼ばれるそこは、カフェの利用客と保護犬たちがふれあえる場所。ドリンク代は保護活動の支援につながり、その気になれば里親になることもできる。
多頭崩壊などのニュースを耳にする一方で、殺処分ゼロを目指した取り組みが盛んになってきていると聞く。そんなニュースで見聞きしていた現状をカフェでは実感することができる。かわいい子犬を産むためだけに生かされ、生殖能力がなくなったからと、手放されたお母さん犬、お父さん犬。病気の疑いがあるため「商品」として扱えなくなった子犬。飼育放棄、保健所からの保護…。出産を繰り返したため歯が抜け落ちベロが出ている子、鳴かないように声帯が切られている子。
それでも、犬たちは尻尾を振って寄ってきてくれる。もちろん、深く傷つきトラウマを抱えていたり、重い病気だったりで、カフェには出てこられない子もたくさんいる。さまざまな背景をもつ彼らを抱きしめながら、人間の傲慢さを思い、複雑な気持ちになる。
子供の頃からずっと犬が飼いたかった。ようやく、飼える環境が整ったとき、犬を迎える手段として、このカフェを知ることができたのは幸運だった。人間のスタッフに初めて飼うことを告げ、家族構成や生活パターンも話し、縁ある犬を待った。そして先日、チワワを迎えいれることができた。愛くるしい表情に癒やされることもあれば、ときに小さい怪獣のように暴れる姿に途方に暮れることもある。それでも、命の尊さを教えてくれる彼との日々が楽しくて仕方がない。
犬を飼いたいと思う人々が、こんな選択肢があることを心の片隅にでも覚えていたら、人間とペットが共に幸せに暮らせる社会の実現も近いかもしれない。(佐々木詩/SANKEI EXPRESS)