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自分でいれて味わう 日本茶の奥深さ Salon de KANBAYASHI/上林春松本店

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自分でいれて味わう 日本茶の奥深さ Salon de KANBAYASHI/上林春松本店

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手順にそって、「綾鷹煎茶」を淹れる。“芳醇の一滴”にうま味が凝縮。日本茶の魅力を改めて実感=2015年4月6日、京都市東山区(志儀駒貴撮影)  【京都うまいものめぐり】

 日本茶とはこれほど奥深い味だったのか-。今月1日、京都・東山にオープンした「Salon de KANBAYASHI/上林春松本店」は、創業450年の京都宇治の老舗茶舗「上林春松本店」が選定した煎茶や玉露を中心とした日本茶を自分でいれるという新しいスタイルのカフェだ。また、新進気鋭の和菓子制作ユニット「日菓」の創作和菓子も提供。日本文化の新たな発信拠点として注目されている。

 趣のある門をくぐると緑豊かな日本庭園が広がる。蔵を改築したというカフェは、明るくカジュアルな雰囲気ながらもゆったり過ごせそうな設え。さっそく「綾鷹煎茶」(単品700円、和菓子付き1150円)をいただこう。いや、いれよう。

 ふくよかな香りとうま味

 「まず、ポットのお湯を湯冷ましに移します。茶葉を急須に入れ、冷ましたお湯を急須に注ぎ、約1分待ちます」と、マネージャーの若林伯香さんが説明する。最後に、急須から湯飲みにお茶を注いでいると「最後の一滴までしっかりと絞ってください。“芳醇(ほうじゅん)の一滴”と言われ、お茶のうま味が凝縮されているんです」と若林さん。ほぉ~、そうなんだ。

 では、一口。ふくよかな香りとうま味が広がる。「お茶がこれほどおいしいとは…」。ペットボトルのお茶にすっかり慣れてしまった身には感動ものだ。カフェで提供されるお茶は5種類。「瑞玉」と「千早振」の玉露、「オリジナルブレンド」「綾鷹煎茶」「季節のお茶」の煎茶、いずれも上林春松本店が選定した茶葉だ。

 茶葉によって、湯の温度や抽出時間が違う。選んだお茶に合わせたいれ方をスタッフが説明し、客自身がお茶をいれる。ほとんどの客が「こんなに違うなんて…」「家でもやってみます」と、日本茶の魅力を改めて実感するそうだ。

 美術品のよう 貴重な和菓子

 和菓子にも注目したい。京都に工房を構え、月に1度だけ販売するという「日菓」の和菓子を提供する。「日菓」は、和菓子を作品としてとらえ、展覧会や作品集の出版などで話題を集めている女性2人の創作ユニット。なかなか手に入らない和菓子が常時カフェでいただけるというのはうれしい。

 オリジナルの「あかがね」、時計の3時を表現した「3時」、月面着陸をイメージした「アポロ」の3種類(各500円)の和菓子が用意されている。定番の「あかがね」以外は季節ごとに変わる予定だ。

 「『日菓』さんの和菓子はそのままで完成されているので、ストーリーを加味する程度のアレンジを施しました」とシェフの齊藤隼人さん。なるほど、「あかがね」は東山の空をチョコレートとオレンジパウダーで表現、「3時」は時計の3時の位置に抹茶チョコレートを配し、「アポロ」はフランボワーズソースで足跡を描いている。見ているだけでも楽しい。

 本物の魅力知るきっかけに

 上林春松本店の抹茶“琵琶の白”を使用した「抹茶白玉ぜんざい」(600円)はすっきりした甘さで絶品。自家製「プティフル(小さなお菓子)」(200円)は小さな重箱にクッキーや生チョコレートが並べられている。「3種のお茶の愉しみ小さなご飯」(1200円)はご飯の上に煎茶のふりかけと玉露のつくだ煮を用意。「そのままでも、お茶漬けでもお好みでどうぞ」と齊藤さん。メニューはこれから少しずつ増やしていく予定というから楽しみだ。

 「お茶は日本の文化。気軽に日本茶を楽しみ、まずは体感していただきたい」と若林さん。コーヒーやアルコール類もそろえているのは、日本茶が好きな人だけでなく、カフェに訪れる人に“本物の日本茶”の魅力を知ってもらうきっかけとなる場所にしたいからだという。

 京都の新たな人気スポットになること間違いない。(文:杉山みどり/撮影:志儀駒貴/SANKEI EXPRESS

 ■Salon de KANBAYASHI/上林春松本店 京都市東山区下河原通高台寺塔之前上る金園町400番1。(電)075・551・3633。営業時間は午前11時30分~午後5時。火曜日定休。大正期築の銅加工メーカーオーナーの邸宅跡をリノベートした「アカガネリゾート 京都東山1925」の敷地内の蔵をカフェに刷新。

 ※価格はすべて税込みです。

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