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あなたのため 書きやすくペン先調整 万年筆専門店「Pen and message.」

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あなたのため 書きやすくペン先調整 万年筆専門店「Pen and message.」

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“現代の茶室”をイメージしたという店内。ノスタルジックな雰囲気が漂う=2014年10月27日、兵庫県神戸市中央区(頼光和弘撮影)  【大人の時間】

 数ある文具の中でも、万年筆は知性やステータスを感じさせる魅力を持つ筆記具だ。根強いファンも多く、近年は女性の愛用者も増えているという。万年筆専門店「Pen and message.(ペン アンド メッセージ)」(神戸市中央区)は、国内外から厳選した万年筆をはじめオリジナルの文具を取りそろえている。店頭でペン先の調整まで施してくれ、愛好家から初心者までが訪れる。

 JR「元町」駅から徒歩3分。れんが造りのビルの1階にある店内は、白い壁に木目調の什器と、どことなくノスタルジックな雰囲気が漂う空間。選び抜かれた万年筆をはじめ、ノート類などの紙製品、デスク周りに最適な皮革製品や木工製品が並んでいる。

 使うほど手になじむ

 「アウロラ」「パーカー」「シェーファー」「セーラー」「パイロット」など国内外の名だたるメーカーの製品やオリジナルの万年筆など200~300種類を取り扱う。同店と木工作家のコラボレート商品で、銘木で作られた万年筆は「使うほど手になじみ、どんどん味わいが出てきます」と店主の吉宗史博さんが説明する。

 「店頭でペン先調整を施してお渡しできるというのが当店の特徴ですね」。万年筆本来のなめらかな書き味を実現するための「調整」を店頭で施す店は全国でも数少ない。ルーペでペン先の状態を確認し、必要があれば調整する。「お客さまに合わせてより書きやすくします」と吉宗さん。

 また「引っかかりやインクの途切れ」「好みの書き味」の対応、「太すぎる線を細くする字幅の調整」なども有料で請け負う。「親御さんの遺品を『使えるようにしてほしい』と持って来られた方もおられます」。吉宗さんは“万年筆ドクター”の役割も兼ねているのだ。

 ケースにもこだわり

 神戸の大手文具店の万年筆売り場で長年キャリアを積んだ吉宗さんだが、「最初は万年筆に興味がなかった」のだとか。それが、文具店で定期的に実施されていた万年筆のクリニックイベントに携わったことから万年筆に興味を持つように。仕事と並行して各メーカーの調整師に師事し調整技術も習得。2007年9月、万年筆専門店「Pen and message.」をオープンした。

 店内に陳列する革製や木製のペンケースやペンスタンド、ブックカバー、ペーパーウエートなどの文具類もぬくもりを感じさせるアイテムばかり。「華美な装飾より、使えば使うほど手になじむ素材を使った商品が多い」という、こだわりの品ぞろえだ。

 分かりやすく和歌をしたためたインクの色見本帳も見応えがある。黒だけでも漆黒から薄墨色まで幅広い。「(色数が)百人一首だけでは間に合わず、古今和歌集に入っています」と、スタッフの久保真記子さんが笑う。月のない夜をイメージしたオリジナルインク「朔(さく)」が人気だという。

 カフェで試して選ぶ

 カフェも併設されている。「仕事や勉強時にコーヒーを飲む人が多いことから“コーヒーはステーショナリー”と考えました。くつろぎながら商品を選んだり試し書きしてもらえれば」と吉宗さん。

 ところで、長時間書いても疲れにくいと定評のある万年筆は、意外なところでも“実力”を発揮しているそうだ。司法試験などの論文は黒インクのボールペンまたは万年筆と指定されているため、「試験用の万年筆を探している」という客も多数訪れるという。「何本かおすすめを提案して、筆圧や好みに合わせて選んでいただきます」

 万年筆は人の生き方を変える力がある-を店のコンセプトに掲げる。「私自身の経験によるものです。万年筆には書くことを楽しめる魅力があります。かけがえのない万年筆に出合える場所でありたいですね」(文:杉山みどり/撮影:頼光和弘/SANKEI EXPRESS

 ■Pen and message. 神戸市中央区北長狭通5の1の13 ベルビ山手元町1階。(電)078・360・1933。営業時間=午前11時~午後7時。水曜定休。

 ※万年筆のペン先洗浄は2000円、調整は2500円、字幅変更は7500円(いずれも消費税込み)。

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