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【This Week】(6月1~7日) 天安門事件26年「人権状況は悪化」
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天安門広場で記念撮影する中国人の観光客=2015年5月19日、中国・首都北京市(共同) 中国当局が学生らの民主化運動を武力弾圧した1989年の天安門事件から4日で26年。四半世紀が過ぎても民主化は進まず、改革・開放政策による急発展の陰で蓄積した社会矛盾に抗議活動が頻発。経済の減速が顕著になる中、習近平指導部は、社会不満が共産党の一党独裁への批判に直結するとの危機感から締め付けを強めており、活動家らは「人権状況は胡錦濤・前政権より悪化した」と指摘している。
習指導部は反腐敗運動や党の指導下での「改革」をうたって求心力の維持を図る。一方で「危険な芽は直ちに摘む」(改革派知識人)方針で反体制と見なした活動は徹底的に取り締まっている。
「わが国の安全は複雑な状況に直面しており、社会の安定維持は容易ではない」。習氏はこのほど、治安機関幹部らを前に対策強化を指示した。
各地では開発を優先する当局の強引な土地収用などに住民らの抗議が多発。2011年の年間約18万件から、ここ数年でさらに増えていると指摘される。
人権団体によると、昨年は天安門事件25年と香港大規模デモに絡み、200人以上が拘束された。全国人民代表大会(全人代=国会)期間中などに拘束される陳情者や活動家は後を絶たず、少数民族や宗教の弾圧も続く。
人権派弁護士は「社会矛盾を解決するには、民主的な制度を取り入れ、国民を政策決定に参加させる必要がある。問題を解決せず抑圧を強めても抗議活動は増えるだけだ」と指摘した。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪「初めて聞いた」 語り継がれない歴史≫
天安門事件について現在、市民の間で語られることはほとんどない。中国共産党が事件に関する報道を禁じ、記念活動や追悼の動きも規制しているためだ。当時の記憶は「意図的に歴史から消されつつある」(北京の改革派学者)。
「初めて聞いた。そんなことがあったのですか」。現場近くにある飲食店で働く女性(24)は事件について聞いたり学校で教わったりしたことがないと話した。事件を経験した市民も「面倒な事態に巻き込まれることを懸念」して、子供たちに事件を語り継ぐことを避けるのが一般的だ。
中国政府は事件当時の民主化運動を「政治風波(騒ぎ)」と呼び、武力弾圧を正当化し続けている。習近平指導部も踏襲しており、民主化運動や武力弾圧を再評価する兆しは全くない。関係者によると、当局は北京などで4月15日ごろから警戒態勢を敷き、民主活動家らへの監視を強化。この日は26年前に改革派指導者、胡耀邦元党総書記が死去した日。民主化運動は胡氏の死去が引き金となって起きた経緯がある。
遺族の高齢化も進んでいる。事件で子供を亡くした親の会「天安門の母」の創設者、丁子霖さん(78)は電話取材に「最近は体調が悪く(対外的な活動を行う)力が出ない」と語った。(共同/SANKEI EXPRESS)