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骨太・成長戦略素案、歳出減の数値目標見送り 雇用支援、中高年や女性に活躍の場
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空調機器の製造ラインで働く従業員たち。成長戦略の素案で雇用は重点対策に位置づけられた=2015年4月5日、滋賀県草津市(ロイター) 政府は22日、経済財政諮問会議と産業競争力会議を開き、今月末の閣議決定を目指す経済財政運営の指針「骨太方針」と新たな成長戦略の素案を提示した。安倍晋三首相(60)は競争力会議で、企業の投資を促すため政府と産業界による官民対話の場を創設すると表明。骨太方針では2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指す「経済・財政再生計画(仮称)」を盛り込んだが歳出抑制の数値目標は見送り、経済成長の促進を財政の健全化につなげる姿勢を示した。
「経済・財政再生計画」は、18年度までの3年間を「集中改革期間」と位置づけ、基礎的財政収支の赤字を国内総生産(GDP)比で15年度の3.3%から1%程度に減らす中間目標を設定した。安倍首相は諮問会議で、「財政に対する国の信認を確保し、財政健全化目標達成を堅持する」と強調。計画が目標達成に不十分であれば追加措置を実施する。
ただ、歳出面では、実質的な伸びを1兆6000億円程度に抑えた過去3年間の安倍政権の実績を踏まえ、その基調を18年度まで継続させていくとの目安を盛り込んだ一方、年度ごとの数値目標は明示しなかった。
≪雇用支援、中高年や女性に活躍の場≫
政府の新たな成長戦略と骨太方針は、少子高齢化で働き手が減るとみて、中高年や女性の活躍の場を広げることを旗印に掲げた。一方、耕作放棄地への課税強化や社会保障分野の負担アップといった「痛み」も潜んでいる。暮らしに関わる項目を点検した。
雇用分野で政府は、中高年の転職者を受け入れる企業に対する助成制度を創設する。活躍の場を社外に求める「セカンドキャリア」を考える人には、経験や知識を生かす場が増えそうだ。
女性のキャリア支援に積極的な企業への助成金を拡充し、非正規で働くケースが多い女性の正社員化も進める。同じ会社で長く働きたい人には朗報だ。待機児童の解消策では、短時間勤務の促進などで保育士が2017年度末までに46万3000人に増え、約40万人分の保育の受け皿ができる。一方、不当に解雇された場合、職場に戻る代わりに企業からお金を受け取る「解決金制度」の導入を、有識者らが検討する方針だ。労使紛争が長引くのを防ぐ効果が期待できる半面、人員整理などに都合良く使われる心配は消えない。
観光の面では、査証(ビザ)の要件緩和などで外国人旅行者数を早期に年間2000万人に伸ばし、達成時には外国人の年間消費額が2倍の4兆円に増えると見積もった。20年には地方の免税店が現在の約3倍の2万店ほどになる。訪日客をもてなす態勢が広がり、大都市や有名観光地に偏る行き先が広がれば、各地の宿泊業や飲食、小売店が潤うことになりそうだ。
農業では、農林水産物や食品の輸出が重点項目になった。ブランド米や特産の果物、酒などを海外に売り込めれば、地域の稼ぎにつながる。
一方、意欲のある農家が広い農地を使えるよう、作物を栽培しなくなった耕作放棄地への課税が強化される。放棄地の利用が進みそうだが、他人に土地を貸し出すのに抵抗がある人は固定資産税が上がりそうだ。
消費税増税に加え、後期高齢者の医療費窓口負担や、介護サービスの利用料などは引き上げる方向で見直される。主に収入の多い人を想定しているが、国民一人一人に番号を割り当てるマイナンバー制度により、金融資産が多い場合も対象になる可能性がある。
マイナンバーでは、来年1月から配られる個人番号カードが17年度以降、キャッシュカードなどに使えるようになる見通し。制度を生かし、個人が生涯にわたる医療情報をパソコンなどで見て健康管理に活用できるようにする方針も示された。
同時に過剰な診療を防ぐため、番号を使って治療歴や薬の服用歴などの情報を集める方策も盛り込んだ。患者が同意すれば医療機関同士で情報を共有できるようになり、関係機関の情報管理に不備がないかを注意しておく必要がありそうだ。(SANKEI EXPRESS)