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【「水球女子」中野由美のリオに向かって】若手加入でチームに伸びしろ

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【「水球女子」中野由美のリオに向かって】若手加入でチームに伸びしろ

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世界選手権に向け、練習する水球女子の日本代表=2015年6月12日、東京都北区の国立スポーツ科学センター(共同)  何もできないまま、時間だけが過ぎていく。ただただ、実力の差を痛感させられました。4月28~5月3日、ニュージーランドのオークランドで開催され、8カ国が出場した国際大会。日本は予選B組で4チーム中の最下位で、A組トップでロンドン五輪金メダルの米国とスーパーファイナル出場をかけて戦いましたが、0-17の惨敗に終わりました。

 その後の順位決定戦でも、アジアのライバルであるカザフスタン、開催国のニュージーランドに敗れ、大会を通じて6戦全敗となってしまいました。予選3試合で計3得点の私は、順位決定戦でも2点ずつを奪いましたが、米国戦ではまともにシュートすら打てませんでした。

 強豪の米国は、銀メダルを獲得した昨年9月のアジア大会前に日本が強化合宿に招待し胸を借りた相手でした。約1週間にわたり、アドバイスを受けつつ、腕を磨かせてもらいました。昨年の同じ国際大会では5-14で負けていたので、今年はどこまで接近できるかと意気込んで臨みましたが、差はむしろ広がったと言わざるを得ない結果に終わってしまったことが、何より悔しかったです。

 新スタイルへ転換

 日本はいま、新たな戦術に取り組んでいます。アジア大会後に就任した加藤英雄新監督のもと、それまでのゾーンで守って全員が一連の動きの中で攻めるスタイルから、マンツーマンで守って素早いカウンター攻撃を仕掛けるスタイルへと生まれ変わろうとしているのです。アジア大会の先発メンバー7人のうち、残ったのは私を含めて4人だけ。若い選手が加わっての再スタートでもあるのです。

 マンツーマンは、相手に1対1で当たり続けることになります。国際大会では、日本より格上のチームがほとんど。相手にプレッシャーをかけて体力を消耗させるためには、こちらはそれ以上の体力をつけないといけません。当たり負けしない肉体も不可欠です。

 もし、誰か一人でも“穴”があれば、そこから崩されます。ゾーンと違って、誰かがカバーに行くこともできないからです。ニュージーランドでの大会では、日本はまだ新しいスタイルにしっかりと対応できていなかったのです。

 主力欠くライバルたち

 リオデジャネイロ五輪に向けた勝負の時期が差し迫っています。

 7月下旬からロシア・カザンで世界選手権が始まります。日本の女子水球は、2003年バルセロナ大会以来12年ぶりの出場です。

 それだけ世界から遠ざかっていたのです。しかも、前回、日本は1勝も挙げることができませんでした。当時の私は高校生。一緒に練習していた大学生や社会人の先輩の中に代表選手がいました。世界選手権から戻ってきたときの先輩たちの悔しそうな表情は今でも鮮明に覚えています。

 6月12日。東京都内で代表合宿が報道陣に公開されました。「まずは1勝ですね」と質問されたとき、「そうだ、まだ日本は1勝もしていないんだ」と改めて痛感しました。

 世界選手権の後には、12月に中国で五輪出場をかけたアジアの最終予選が控えています。

 ニュージーランドで見たライバルのカザフスタンも中国も戦力的には落ちていた印象があります。カザフスタンはアジア大会までいた30代の主力が抜けていました。中国も08年北京五輪に向けて強化してきた中心選手たちが世代交代でいなくなっています。日本が新たに加わった若い選手たちとうまく力が融合すれば、決して太刀打ちできない相手だとは思いません。

 合宿公開の場で、加藤監督はこう言っていました。「まだ発展途上だが、高い理想を持って臨みたい」。チームには伸びしろがあるという意味だと思います。現役を続けてきたのはオリンピックという夢をつかみ取るためです。残された時間を大切に、チャレンジしたいです。(水球女子日本代表、東京都立桜町高教員 中野由美/SANKEI EXPRESS

 ■なかの・ゆみ 1986年7月1日、神戸市生まれ。水球女子日本代表。4歳からスイミングスクールに通い始め、7歳から水球を始める。中学卒業後に単身上京し、水球の強豪・藤村女子高校へ進学。東京女子体育大卒。大学時代はインカレ、日本選手権いずれも4年連続優勝。大学卒業後、製薬会社に就職するも五輪出場の夢を追うために3カ月で退社した。東京都立桜町高教員。

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