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干魃の米加州、水道当局が名優提訴 「水泥棒セレブ」失笑と反感
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米カルフォルニア州で乾いた土に水をまくタンク車。干魃(かんばつ)が続く中、自分だけが潤う水の使い方には、市民の視線は厳しい=2015年4月11日(ロイター) 歴史的な干魃(かんばつ)が続く米カリフォルニア州の消火栓から、何度も大量の水を抜き取ったとして、名優、トム・セレック氏(70)が裁判沙汰になっている。米で放送中の人気ドラマで、ニューヨーク市警本部長を演じるセレック氏の“我田引水”に、失笑とともに非難の声も。さらに、水不足に苦しむ市民を尻目に、少額の罰金を払い、ふんだんに水を使うセレブへの風当たりも強まっている。
セレック氏を訴えたのは、カリフォルニア州ベンチュラ郡カレグアス市の水道当局。訴状によると、セレック氏は2013年9月から今年3月にかけて、市内の消火栓から少なくとも12回以上、水を無断で抜き取っていたという。水は自分の農場やアボカド畑(計約25ヘクタール)に散水するなどしていた。
頻発する水の抜き取りに業を煮やした水道当局は、タンク車の割り出しなどを私立探偵に依頼。調査の結果、タンク車がセレック氏名義だったことをつかみ、水の抜き取りをやめるよう再三警告したが、無視して抜き取りを続けたという。郡の保安局がセレック氏の行動を犯罪認定できないと判断したため、水道当局が、私立探偵を使った費用2万2000ドル(約268万円)などを上乗せして請求したほか、市の消火栓から永久に水を持ち出さないことを求めている。
名優、しかも人気ドラマで警察組織のトップ役の“不祥事”だけに、ロサンゼルス・タイムズ紙、NBCニュースや英ガーディアン紙(いずれも電子版)などが、こぞって報道。市民からは名優の振る舞いに失笑が漏れるとともに、水の抜き取りに厳しい声も。
そもそも、カリフォルニア州は干魃が多い州で知られる。4年前からは降水量が激減しており、尋常ではない乾燥状態が続いている。このため、今年4月には、ジェリー・ブラウン州知事(77)が州全域での「節水令」を発令。都市部では25%、敷地が広く水の使用量が多いビバリーヒルズでは36%の減水を課し、違反した住人には1日最高500ドル(約6万円)の罰金を命じている。
このため、一般市民は、黄色く変色した芝生に、緑色のスプレーをかけて化粧直しをするなど、自慢の庭の美観保持にも涙ぐましい努力をしている。
ところが、セレブにとって市民の苦悩などお構いなし。英紙デーリー・メール(電子版)や米芸能系メディアは、州内にある豪邸の航空写真を掲載。どの豪邸も、一般家庭とは違い青々とした芝生が広がり、プールには満々と水が張られているのだ。これらの豪邸の主は、ラップ歌手、カニエ・ウエスト氏(38)と女優、キム・カーダシアンさん(38)夫妻や、歌手兼女優、ジェニファー・ロペスさん(45)、歌手兼女優、バーブラ・ストライサンドさん(73)ら、世界的な大スターたち。それだけに、メディアも「この罰金額では億万長者に水使用を制限させるのは困難」との水道当局者のコメントを紹介するなどし、その格差ぶりを強く批判している。
歴史的な干魃の中、発覚した水をめぐる大スターの裁判。怒りに燃える市民らの、暑い逆風を、セレブらはどうクールダウンさせるのだろうか。(SANKEI EXPRESS)