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【大阪都構想】都構想「否決」 夢ついえる 橋下氏の去就注目

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【大阪都構想】都構想「否決」 夢ついえる 橋下氏の去就注目

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投票日を迎えた17日、街頭演説で懸命に支持を訴える大阪維新の会代表の橋下(はしもと)徹・大阪市長=2015年5月17日午後、大阪市中央区(沢野貴信撮影)  大阪市を廃止し、5つの特別区に分割する「大阪都構想」の住民投票は17日投開票され、反対多数となることが確実となった。政令指定都市として初めて存廃が問われた大阪市の存続が決まった。大阪維新の会代表の橋下(はしもと)徹大阪市長(45)は、反対多数となった場合の政界引退を表明しており、去就が注目される。

 橋下氏は「都構想の住民投票はこれが最後」と表明しており、橋下氏が提唱してから5年あまり続いた都構想の議論に終止符が打たれた。都構想実現を掲げて結党した大阪維新の会や、国政政党の「維新の党」は解体的出直しを迫られそうだ。半年後に実施される予定の知事、市長選の行方も注目される。

 当日に「最後の訴え」

 今回の住民投票では、通常の選挙戦と異なり、投票日当日の運動は禁止されないため、17日も賛成派、反対派双方が有権者に「最後の訴え」をヒートアップさせた。

 橋下氏が陣取ったのは大阪市内屈指の繁華街だ。

 「本当に大阪の改革の最後の総仕上げです。大阪都構想をとるのか、かつての状態に戻すのか。それも含めて有権者の判断です」

 通常の選挙ではあり得ない投票日当日の訴えに聴衆は大きな拍手を送った。「国政政党の立ち上げも含め全て都構想のためにやってきた」と公言する橋下氏は「住民に支持されなかったら政治家の能力がない。早々と政治家をやめないとダメだ」と退路を断った。

 無駄遣い「頭にきた」

 都構想の原点は5年前にさかのぼる。橋下氏は2008年2月、当時全国最年少の38歳で大阪府知事に就いた。「一生懸命、働いて稼いだ税金を役所に無駄遣いされて頭にきた」と改革に邁進(まいしん)した。だが、次第に大きな壁にぶち当たる。大阪府と大阪市の対立だ。双方の水道事業の統合が話し合いの末に頓挫したことをきっかけに10年春、役所機能の再編による二重行政解消を目的とした都構想を打ち上げた。

 地域政党「大阪維新の会」を発足させ、11年には自身が市長選に“くら替え”して挑んだ知事・市長選のダブル選で圧勝。都構想実現に必要な法改正が実現すると、12年に日本(にっぽん)維新の会(現・維新の党)を結成した。

 ただ、住民投票までの道のりは一筋縄ではなかった。結党直後の衆院選は選挙協力の見返りに公明党から都構想への協力をとりつけたが、制度設計を担う会議の進め方をめぐり14年に決裂。しかし、昨年12月の衆院選では自ら公明党の対立候補になる可能性に言及して公明に揺さぶりをかけ、衆院選後に住民投票実施容認にカジを切らせた。

 投票率ダブル選超え

 住民投票では大阪維新幹事長の松井一郎府知事(52)と手分けし、路地裏やスーパー前なども回った。昨年から始めたツートップの“どぶ板演説”は600回を超えた。世論調査で反対優勢が伝えられる中、終盤には新聞折り込み用ビラにこう書き込んで支持を呼び掛けた。

 「僕のことはキライでもいい。でも、大阪がひとつになるラストチャンスなんです」

 投票率は66.83%で、出馬し知事選とのダブル選となった11年11月の市長選(60.92%)を超え、有権者の関心を高めることには成功した。だが、結果は否決。しがらみを断ち切った「ふわっとした民意」をよりどころに、批判も恐れず敵対勢力を罵倒してきた橋下氏の夢はついえた。(SANKEI EXPRESS

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