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政治
【大阪都構想】17日投開票 反対47.8%で賛成を上回る
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大阪都構想の賛否の推移=2015年5月9、10の両日、大阪市内の有権者を対象に電話に世論調査を実施 ≪焦る橋下氏 自民は禁断の呉越同舟≫
産経新聞社は9、10の両日、大阪市内の有権者を対象に電話による世論調査を実施した。橋下(はしもと)徹市長(45)が率いる大阪維新の会が掲げる「大阪都構想」への賛成は39.5%で、反対が47.8%と上回った。4月4、5両日の前回調査は賛成36.7%、反対47.5%で、差は10.8ポイントから8.3ポイントにやや縮まった。住民投票は17日に投開票される。残り1週間で情勢が変化する可能性もある。
賛成する理由は「思い切った改革が必要だから」の41.0%がトップで、「二重行政が解消されるから」の27.7%が続いた。前回はそれぞれ27.5%と45.1%で、逆転した。
反対理由では「メリットが分からないから」が32.1%で最も多く、「住民サービスが良くならないから」が14.6%。
橋下氏への支持は45.8%で、不支持の43.3%をやや上回り、都構想の賛否とはねじれた形となった。都構想に対する橋下氏の説明は「十分ではない」が66.3%で、「十分だ」の29.1%を大きく上回った。
住民投票の実施が確実となってからの世論調査は今回が3回目。3月14、15両日の第1回調査は賛成43.1%、反対41.2%と拮抗(きっこう)していた。
投票結果は法的拘束力があり、一票でも賛成が上回れば2017年4月の大阪市の廃止、特別区設置が決まる。府の名称を「都」に変えるには法整備が必要となる。反対が上回った場合、橋下氏は政界を引退する考えを表明している。
≪焦る橋下氏 自民は禁断の呉越同舟≫
「大阪都構想」実現に政治生命をかける大阪維新の会代表の橋下(はしもと)徹大阪市長は住民投票まで1週間となった10日も市内4カ所で街頭演説を行った。世論調査で反対が上回った状況を「力不足だ」としつつ、「あと1週間、周りに声を掛けて賛同してほしい」と訴えた。一方、都構想反対で連携する自民、民主、共産各党の国会議員は合同街頭演説を開き、「禁断の呉越同舟」で反対を呼び掛けた。
「大阪が変わるラストチャンスだ。17日の住民投票は賛成で大阪を前に進めてほしい」
橋下氏は10日に大阪市此花区で行った街頭演説で、こう訴えた。橋下氏は自ら退路を断ち、都構想否決の場合の政界引退を公言している。維新の党にとって、否決されれば、党の掲げる重要政策の柱に加え、橋下氏という創業者も失う。党の存亡がかかった住民投票だけに、賛成が広がらない状況に焦りもにじむ。
橋下氏は演説で「大阪市役所がどれだけ税金を食い物にしてきたのか忘れたかと反対の人に聞きたい」と、反対派を厳しく批判。「少子・高齢化に向け未来を見据えたのが都構想だ。大阪の街をつぶすのではない。役所の仕組みをつくり変えるだけだ。住民サービスが極端に下がることはない」と強調した。
これに対し、反対派の自民、共産両党は大阪・梅田で街宣車を並べた。
自民党大阪府連会長の竹本直一衆院議員(74)は「年2200億円が大阪市から大阪府に吸い上げられ、市民には大損だ」「住民サービスが不便になる」と気勢を上げた。安倍晋三政権批判の先頭に立つ民主党の辻元清美衆院議員(55)も参戦し、「党派を超えて『大阪党』として立っている。ぜひ否決してほしい」と呼び掛けた。
その後、辻元氏らと共産党の街宣車に乗り換えた自民党の柳本卓治参院議員(70)は「兄弟分のような感じだ」と共産党を持ち上げ、共産党の山下芳生(よしき)書記局長(55)も「120年の歴史を持つ大阪市を廃止するのが都構想の正体だ」と訴えた。
安倍晋三首相(60)は都構想に一定の理解を示し、「反対」明言を求める党大阪府連にも首を縦に振ってこなかった。今後の憲法改正を見据えれば、「憲法改正は必要だ」と主張する橋下氏ら維新の党との連携は欠かせない。そうした状況で、首相を敵視する辻元、山下両氏らと共闘する党大阪府連には「みっともない」(党幹部)との声も上がっている。(SANKEI EXPRESS)