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【ギリシャ危機】ユーロ一時離脱 ドイツが要求検討 ギリシャ支援協議大詰め 合意か破綻か

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【ギリシャ危機】ユーロ一時離脱 ドイツが要求検討 ギリシャ支援協議大詰め 合意か破綻か

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再開したユーロ圏財務相会合で話し込む、国際通貨基金のクリスティーヌ・ラガルド専務理事(左)とギリシャのユークリッド・チャカロトス財務相=2015年7月12日、ベルギー・首都ブリュッセル(ロイター)  欧州連合(EU)は12日午前、財政破綻の瀬戸際にあるギリシャ向け金融支援問題を協議するため、ブリュッセルでユーロ圏財務相会合を再開した。12日午後にはユーロ圏首脳会議を開催。支援の可否を最終判断する。決裂すればギリシャは財政破綻し、ユーロ圏離脱が現実化しかねない。EUは重大な決断を迫られる。一方、ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネ日曜版(電子版)は11日、ドイツ財務省が、ギリシャに対しユーロ圏から最低5年間の離脱を求める案を検討していたと報じた。ドイツ財務省の立場をまとめた内部文書で明らかになったとしている。

 EU首脳会議は中止

 11日のユーロ圏財務相会合は、支援を受ける条件としてギリシャが提示した財政再建策にドイツやフィンランドなどが厳しい姿勢を示し、協議が難航。財政再建が実行されるかどうか疑問視する声も相次ぎ、結論が出ないまま8時間超に及んだ議論をいったん終えた。

 フィンランドのストゥブ財務相は12日の会合前、記者団に「現時点では(支援)融資の条件が十分に満たされていない。明確な条件と約束が必要だ」と述べた。

 ギリシャはユーロ圏の金融安全網「欧州安定メカニズム(ESM)」による3年間の支援融資を要請。ほぼEU側の要求通り付加価値税(日本の消費税に相当)増税や年金改革を盛り込んだ再建策を9日提出した。

 ユーロ圏諸国は11日の財務相会合で、支援の具体的な交渉に入る前にギリシャが財政再建に関する一部の法案を今週前半にも議会で可決するよう求めた。

 EUはユーロ圏首脳会議開催日の12日を合意の最終期限に設定していた。12日にはEU全28カ国の首脳会議も予定されていたが、取りやめになった。EU筋によると、財務相会合が難航したことを踏まえ、ユーロ圏首脳の協議に、より多くの時間を充てるためという。

 「再建策は不十分」

 一方、ドイツ紙の報道によると、ドイツ財務省はギリシャに500億ユーロ(約6兆8000億円)規模の国家資産を債務返済のため第三者基金に譲渡するか、ユーロ圏から5年間の離脱を求めることを検討した。

 ドイツ財務省の文書は「(ギリシャ政府の)財政再建策は、長期的な経済成長を遂げ持続的に発展するために必要な改革が欠けている」と指摘。早急に再建策を改善するか、ユーロ圏を一時的に離脱しその間に債務削減を検討すべきだとしている。

 ユーロ圏を一時的に離脱する場合、債務返済が困難になった国の負担を軽減する措置を話し合う、主要債権国によるパリクラブのような枠組みの活用を視野に入れているという。ただ、ドイツ紙は、こうした案が他のユーロ圏諸国の理解を得られるかは不透明だとしている。

 関係者によると、ドイツのショイブレ財務相は11日の会合で資産譲渡は提案したが、ユーロ圏離脱については言及しなかった。(共同/SANKEI EXPRESS

 ≪アテネ市民「一息つける」「未来は暗い」≫

 支援再開で一息つきたい-。ブリュッセルで11、12両日に開かれたギリシャ向け金融支援再開の是非を協議するのユーロ圏財務相会合。国家財政破綻の危機にあるアテネ市民は、ギリシャの命運を左右する交渉の行方を固唾をのんで見守った。

 「うまくいくと信じているけど、ちょっと不安だ。特にドイツの態度が厳しいから」。アテネ中心部のシンタグマ広場で、会社員の男性、ゲラシモス・エバンゲラトスさん(30)が表情を曇らせた。

 ギリシャでは資本規制が導入され、銀行の営業停止が続く。エバンゲラトスさんは「支援が再開されれば一息つける。ギリシャは財政再建に向けて努力する」と強調した。

 チプラス首相は、増税や年金の改革を盛り込んだ再建策をまとめた。エコノミストの男性パナヨティス・ファタコスさん(27)は「首相はよくやっている。本気で合意を目指している」とエールを送った。

 一方、学生の女性、カソリン・ハジダキさん(20)は「金融支援が再開しても、再開しなくてもギリシャの未来は暗い。今はとにかくお金を節約しなきゃ」とため息をついた。(共同/SANKEI EXPRESS

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