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【ギリシャ危機】ギリシャ「2年で1.6兆円収支改善」 増税、年金改革盛り込み 再建策提出へ
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7月8日、ギリシャ・首都アテネの銀行の窓に映った、ATMに並ぶ市民=2015年(AP) 財政危機に陥ったギリシャは9日、欧州連合(EU)による金融支援再開の前提となる財政再建策をEU側に提出する。複数のギリシャ紙によると、増税や年金改革により2年間で100億~120億ユーロ(約1兆3400億~1兆6000億円)規模の収支改善を図る内容とみられる。アレクシス・チプラス政権内で調整を行い、合意に達すれば提出する。
EU側は最終期限と設定した12日のEU首脳会議で支援の可否を判断。支援がなければギリシャはデフォルト(債務不履行)に陥り、ユーロ圏離脱の恐れもあるだけに、EU側が再建策を認めるかどうか重大局面を迎える。
EU欧州委員会と国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)の3機関が再建策を精査。ユーロ圏財務相会合に報告する。1日に失効したEU支援再開の可否は最終的にEU首脳会議で決まる。
報道によると、再建策では法人税は26%から28%に、レストランや食品などの付加価値税(日本の消費税に相当)は13%から23%にそれぞれ引き上げる。観光地など離島での軽減税率は維持する。
また、定年より1年早く退職する場合の年金支給額を16%減額するなど年金支出を抑制する。
ギリシャ政府は8日、ユーロ圏の金融安全網「欧州安定メカニズム(ESM)」の融資を3年間にわたり受ける新たな金融支援をEUに正式要請。チャカロトス財務相は、来週にも税制改革や年金に関する措置を実行することを約束。増税などを直ちに行うかどうかは不明だ。
モスコビシ欧州委員(経済・財務・税制担当)は8日、ギリシャの対応が「建設的になっている」と評価。フランスやスペインも歓迎しているが、最大の支援国ドイツは「複数年支援には義務が含まれていなければならない」としており、妥協の構えを見せていない。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪「ユーロ圏離脱」 エコノミスト55%が予想≫
ロイター通信がエコノミストを対象に8日に行った調査で、ギリシャがユーロ圏を離脱するとの予想が55%に上り、過去数年間の調査で初めて5割を超えた。57人から聞き取った。
EUによるギリシャへの金融支援は双方の信頼関係が崩れていることなどを理由に、エコノミストの間ではEUが設定した12日の最終期限までに合意に達しないとの見方が強いようだ。
ギリシャが20日に控えるECBへの約35億ユーロ(約4700億円)の国債償還については、60%が返済不可能と答えた。あるエコノミストは、ギリシャはデフォルトになるとし、ECBがギリシャの銀行の資金繰りを支える緊急融資を打ち切ると予想した。
ECBが国債を中心とした資産を買い取って市中にお金を供給している量的緩和に関して、大多数のエコノミストが、ギリシャのユーロ圏離脱によって金融市場や域内経済が混乱する恐れがあるとして、ECBは追加緩和に踏み切らざるを得なくなると予測。追加緩和の手段としては、月600億ユーロの資産購入規模を増やす可能性が高いとみている。(共同/SANKEI EXPRESS)