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【にほんのものづくり物語】紀州 南高梅
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紀州_南高梅(竹内農園提供) ≪伝統に培われた技を新しい発想に生かすと「ものづくり」の可能性が広がる≫
青果売り場の店頭をにぎわす青々とした梅の実は、夏が近づいていることを知らせる季節の便り。梅酒や梅干しは古来より日本人の生活を爽やかに豊かに、そして健康に導いてくれる食材。中でも紀州和歌山は梅のトップブランドとして名高い南高梅の故郷です。
今回はブランド梅の有機栽培にいち早く取り組み、地域への啓蒙(けいもう)にも努めている女性農業経営者、竹内幸子さんを和歌山県田辺市に訪ねました。
梅生産量日本一を誇る和歌山県を代表する品種「南高梅」。大粒で皮が柔らかく、厚い果肉を持つ最高級品といわれています。その歴史は、明治時代にみなべ町で高田貞楠(さだぐす)氏がひときわ大きな実をつける一本の梅の木を見つけたことから始まります。これを母樹に大切に栽培されてきた「高田梅」は、1950年に発足した「梅優良母樹調査選定委員会」により、最優良品種と認定。最も風土に適した梅を選定するための調査に尽力した南部高校の竹中勝太郎教諭が、「南部」と「高田」から名をとり「南高梅」と名付けました。人々の篤(あつ)い思いが和歌山の地域ブランドを育んできたことがうかがえる逸話です。
黒潮の影響で、冬は温暖、夏は涼しい恵まれた環境を持つ和歌山県田辺市。6月になると山肌を覆う樹々の枝には、日差しをいっぱいに受けて赤みを帯びた大ぶりの実が収穫を待つ光景が見られます。ここでの収穫は、自然と落ちる完熟した梅を地上に張ったネットで受け止める方法。竹内幸子さんは地元企業に就職後、縁あって5代続く梅農家に嫁ぎました。ご主人の祖父は梅の改良にも取り組み、長次郎梅という品種を世に送り出したという筋金入り。農家の嫁としてつつましく尽くす日々を送りながらも、もともと器用で世の中の動きに敏感、好奇心旺盛な幸子さんには「自然のものは、自然のもので!」という思いがありました。昔かたぎで気難しいご主人はなかなかそんな話に耳を貸してはくれませんでしたが、「より良いものを作りたい」思いは同じ。何とか旧知である串本の尾鷲牧場の牛糞(ぎゅうふん)を堆肥にすることにこぎつけ、2001年の有機栽培認証の始まりと同時に取り組み始めます。化学肥料を主流に効率を求める時代には画期的なことでした。当初は有機栽培への認知度も低く厳しい状況が続きますが、いつかは時代が追いついてくる!と信じていました。最近になりようやく「オーガニック」の価値が広く認識されて「本当に続けてきてよかった」と思う日がやってきたのです。
尾鷲牧場のゆったりとしたクリーンな環境で育つ牛たちの牛糞が、竹内農園で土に返っていきます。自然の堆肥から栄養を取り入れることができるようになった樹には強い生命力が宿ります。虫除けに使う忌避剤は紀州備長炭の木酢液。魚、川ガニ、ニンニク、ウコンを漬け込んだ自家製液肥も用います。一見高級に感じる素材ですが、どれも畑の周りにあるものばかり。川ガニのキトサンや、十薬(どくだみ)などの生薬は人の体に良いものだから木にも良いはずという発想です。「自然の持つ力は素晴らしい!」。幸子さんのポリシーが結実した梅の実がおいしくないわけがありません。
栽培した梅のほとんどは、近所のアルバイトの手を借りて梅干しや練り梅に加工し出荷。インターネットを通じて知り合った企業を通じ、全国へ自由な宣伝も販売もできるようになりました。そんな時、今まで考えたこともなかった異業種、化粧品メーカーからの問い合わせが入りました。化粧品原料としてハイクオリティーな「有機梅」を使いたいというのです。話を聞き、即決しました。「食」以外の分野へ新たな道が拓(ひら)けたのです。
5年前にご主人を亡くし、代々受け継がれてきた梅を次世代に引き継ぐためにも、今やってみたい!ということに次々とチャレンジの日々。最近では、周りの農家でも堆肥に興味を持ち、取り入れる人たちも増えてきました。身近にあるものの有効活用というシンプルで柔軟な女性の発想力。日本の地域活性を支える底力の一翼は女性たちが担っているのかもしれません。(SANKEI EXPRESS)
問い合わせ先:農業生産法人 竹内農園株式会社 〒646-0214 和歌山県田辺市上三栖593 (TEL・FAX)0739・34・0137。http://shop.wakayamaken.jp/kisyuume/
ワミレスコスメティックス株式会社 (フリーダイヤル)0120・66・0304