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【Q&A】中国弁護士摘発 人権派標的 政権への「反逆分子」警戒

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【Q&A】中国弁護士摘発 人権派標的 政権への「反逆分子」警戒

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家屋や農地の強制収用をめぐる公判で、当局に抗議する王宇氏(左から4人目)=2015年4月、中国・江蘇省蘇州市(共同)  中国全土で人権派弁護士や活動家の摘発が続いている。17日までに当局は200人以上を連行した。弁護士らを狙った摘発としては、過去最大規模とみられ、海外では批判の声が相次いでいる。

 Q 摘発の対象は?

 A 弱者に寄り添い、社会のひずみの受け皿的存在だった人たちが多い。拘束された女性人権派弁護士の王宇(おう・う)氏は昨年、視覚障害者の弁護を務め、職業差別の実態を調査してきた。連行された李方平(り・ほうへい)弁護士は、エイズやB型肝炎患者らに対するさまざまな差別を告発したことで知られる。

 Q なぜ摘発するの?

 A 中国では豊かになると同時に国民の権利意識も高まり、格差拡大など社会矛盾への不満が広がっている。当局は、不満を訴える人々を支援する人権派弁護士らのネットワークをつぶし、体制に脅威となる芽を事前に摘もうとしている。

 弁護士らは、弱者の味方となり、党・政府に代わる存在として影響力を広げている。習近平指導部は、各地で頻発する抗議活動が組織化され、1989年の天安門事件のきっかけになったような大規模運動が起こることを警戒したようだ。これまでにも憲政実現を訴える「新公民運動」の弁護士や法学者らが拘束されている。盲目の人権活動家、陳光誠(ちん・こうせい)氏や人権派弁護士、高智晟(こう・ちせい)氏も摘発された。

 Q 今回はどんな容疑がかけられたの?

 A 国営通信の新華社は、弁護士が陳情者らを組織して「敏感な事件」の現場に派遣し、問題を政治化させていたと指摘した。2012年以降、こうした事案が約40件あり、公安省が全国の弁護士や活動家の摘発を進めていると報じた。

 別の国内メディアは「思想面で問題がある人物がおり、中国の政治制度を根本的に認めていない」と批判。政権への反逆として、国家政権転覆扇動などの重大容疑がかけられる可能性もある。

 Q 活動家や弁護士は反発しているの?

 A 人権活動家らは「暗黒の週末」と懸念を示して、習指導部が提唱する「法に基づく統治」の実態は、一党独裁の強化にあることを露呈したと反発した。一時拘束された女性活動家は「弁護士すら物が言えなくなれば、司法はどこへ向かうのか」と憤っている。

 米国や国際人権団体も「平和的な人権擁護活動を行う人たちを拘束している」と反発した。9月には習国家主席の訪米を控えており、外交問題化は避けられない状況だ。(共同/SANKEI EXPRESS

 ≪拘束・抑圧…海外から批判≫

 中国では住民の権利意識の高まりなどから民主化や人権状況の改善を求める声が高まっており、一党独裁を続ける共産党が押さえ込みに躍起となっている。

 2008年には独裁廃止を訴えた「〇八憲章」を起草した劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏=ノーベル平和賞受賞=を拘束し、国家政権転覆扇動罪で投獄。その後も人権派弁護士の浦志強(ほ・しきょう)氏や改革派女性ジャーナリスト、高瑜(こう・ゆ)氏ら多くの知識人や活動家らの拘束や逮捕が続いている。ウイグル族、チベット族への抑圧も強化しており、海外から批判を受けている。

 今回の人権派弁護士らの一斉連行についても、米国は、国務省のカービー報道官が声明で、今月施行された「中国国家安全法」を根拠に、中国で「広範な人権侵害」が行われていると指摘。平和的な手段で人権を追求する市民の権利を尊重するよう訴えた。

 カナダの駐中国大使も釈放を促す声明を発表。法治を尊重するよう中国側に求めた。

 一方、日本は岸田文雄外相が記者会見で「自由、基本的人権の尊重、法の支配は大事にしないといけない。全ての中国人にこうした普遍的価値が保障されることを強く求めたい」と述べた。(SANKEI EXPRESS

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