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【ギリシャ危機】ギリシャ首相「賛成は共犯者」 「国を滅ぼす」 投票控え割れる世論

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【ギリシャ危機】ギリシャ首相「賛成は共犯者」 「国を滅ぼす」 投票控え割れる世論

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首都アテネの国立銀行の前に殺到する市民ら。預金の引き出し制限が生活を直撃し、チプラス政権への不満が高まっている=2015年7月2日、ギリシャ(ロイター)  欧州連合(EU)ユーロ圏の財務相らは1日、財政危機に陥ったギリシャ向け金融支援協議を5日の国民投票の結果が判明するまで行わないと決めた。ギリシャのチプラス首相が、EU側が支援条件としている財政再建策に依然抵抗していることに反発した。欧州中央銀行(ECB)は1日、ギリシャの銀行の資金繰りを支える緊急支援枠の維持を決めた。

 今後の焦点はEUが求める再建策の賛否を問う5日のギリシャの国民投票に移る。反対多数となればEUとの関係悪化は決定的となり、ギリシャはユーロ圏やEUからの離脱を余儀なくされる恐れもある。

 チプラス首相は6月30日、EU側の再建策について、観光地など離島に対する付加価値税(日本の消費税に相当)の軽減措置の維持などを条件に受け入れるとの書簡をEU側に提示した。ユーロ圏の財務相は1日、電話で対応を協議し「現時点で提案を聞き置くにとどめる」(財務相会合のデイセルブルム議長)とした。

 チプラス首相は再建策でEU側に一定の譲歩姿勢を示した半面、1日のテレビ演説では「国民投票で賛成票を投じるのは、緊縮策継続の共犯者だ」などと国民に訴え、EUへの対立感情をあおった。チプラス氏に対し、EU側の不信感は強まる一方だ。

 ギリシャの世論調査では多数の国民が「ユーロ圏残留を望む」と答えている。ギリシャ国民が再建策を受け入れれば、6日以降にEUとの協議が再開される見通しだが、ECBへの国債償還などが今月中に控えており、支援策をまとめる時間は少なくなっている。

 一方、ギリシャの銀行は資本規制の導入で、預金の流出が抑えられている。このためECBは1日の理事会で、国民投票までは緊急支援枠を変更しないとみられる。(共同/SANKEI EXPRESS

 ≪「国を滅ぼす」 投票控え割れる世論≫

 EUが求める財政緊縮策への賛否を問うギリシャの国民投票。チプラス首相の思惑通りに国民が反対を選択すると財政破綻の恐れが強まり、「ユーロ圏離脱」の可能性も現実味を増す。賛成なら首相は辞任する意向で、政局混迷は不可避だ。国民投票で対EU協議の行き詰まりの打開を狙う首相の“賭け”は国民を翻弄している。

 「負担を受け入れてでもユーロ圏にとどまるべきだ」「緊縮策には断固反対だが、支援なしには生きられない」「ユーロを捨て、(旧通貨)ドラクマに戻ってもいい」

 投票日が迫る中、世論は揺れ、賛成派と反対派がそれぞれ集会を行うなど情勢は緊迫している。6月29日夜には1万人規模の反対派がアテネ市中心部の広場を埋め、翌日には雨の中、親EU派の2万人以上が集結した。

 国民投票はEU側が示した財政再建案に対し「承認しない・いいえ」「承認する・はい」のいずれかを選び、空欄にチェックを入れる形式。縦に並ぶ選択肢は上が「いいえ」、下が「はい」で、「反対を選ばせたい政府の思惑が透ける」との指摘もある。

 チプラス首相が突然の国民投票実施を表明したのは6月27日。野党は首相の表明から投票まで1週間余りしかないことに猛反発している。

 内務省によると、投票は5日午前7時~午後7時(日本時間5日午後1時~6日午前1時)に実施。即日開票され、5日深夜(日本時間6日未明)から6日午前1時(日本時間6日午前7時)ごろに大勢が判明する見通しだ。

 有権者数は18歳以上の約990万人。ただ、在外投票の準備が間に合わないため投票は国内の約800万人に限られる。成立には有権者の40%以上の投票が必要で、有効投票の過半数で賛否が確定する。

 ギリシャ政府は投票用紙の印刷や投票所への配布を急ぐが、付加価値税の増税率や年金改革など再建案の詳細を国民に十分説明していない。技師のステリオスさん(42)は「はい、いいえがそれぞれ何を意味するのか、結果を受けて国がどうなるのか、誰も分からない」と戸惑う。

 人権監視機関の欧州評議会はAP通信に、国民投票は十分な周知期間もなく、国際的な水準を満たしていないと指摘。地元メディアによると、国内でも憲法違反との市民の告発があり、国家評議会(行政訴訟の最上級審)が3日に判断を示す予定だ。

 内務省の推計では、国民投票の実施費用は約2000万ユーロ(約27億3000万円)。経済が苦境に追い込まれる中「投票につぎ込む金があるなら、国民を救ってくれ」と怒りの声も上がる。

 世論調査によると、6月29日に銀行休業で市民生活が打撃を受けた後に賛成が増えたものの、反対がややリード。ただ、7月2日に公表された別の世論調査結果では賛成が47%、反対43%と拮抗している。

 「最も恐れているのは国民が2つに割れることだ」。投票実施に否定的な北部テッサロニキ市のブタリス市長は6月30日、アテネでの市民集会で演説し「国民投票は国を破滅させるだけだ」と警告した。チプラス首相は29日にテレビ番組に出演したが「投票の結果、ギリシャはどうなるか」との問いに明確に答えなかった。(共同/SANKEI EXPRESS

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