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支援か破綻か ギリシャ協議ヤマ場

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支援か破綻か ギリシャ協議ヤマ場

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首都アテネ中心部のシンタグマ広場で、緊縮策に反対する集会に参加する市民ら=2015年6月21日、ギリシャ(共同)  欧州連合(EU)は22日、ブリュッセルで財政危機に陥っているギリシャの金融支援に関するユーロ圏財務相会合を開催した。続いて開く緊急のユーロ圏首脳会議を通じ、EU支援の継続かデフォルト(債務不履行)に陥る事態か、ギリシャに選択を迫る見通しだ。2月に支援延長が決定して以来、4カ月を超える協議はヤマ場を迎えた。

 財務相会合ではギリシャが新たな財政再建策を正式に説明した。ギリシャのメディアによると、焦点の年金改革でEU側に歩み寄る方向だ。

 ただ、財務相会合のイェルン・デイセルブルム議長(オランダ財務相)は「最終評価は不可能だ」と述べ、22日に合意に達するのは難しいとの認識を示した。ギリシャ側の新たな案の提示が遅かったことを理由に挙げた。

 EUのドナルド・トゥスク大統領(58)は首脳会議について「魔法の解決策はない」と強調し、ギリシャ側に譲歩を強く求めた。会議が順調に進めば、債務削減や7月以降の支援を協議する可能性もある。ギリシャのアレクシス・チプラス首相(40)は首脳会議に先立ち、EU欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長(60)と会談。ユンケル氏は記者団に「今日、合意できるかどうか分からない」と語った。

 EUや国際通貨基金(IMF)はEU支援の期限である6月30日までにギリシャと合意できない限り、凍結中の72億ユーロ(約1兆円)の融資を再開しない。このため、ギリシャは30日期限のIMFに対する約16億ユーロの債務返済ができず、デフォルトとなる可能性が高まっている。(共同/SANKEI EXPRESS

 ≪ユーロと反緊縮で揺れる市民 預金引き出しで生活防衛≫

 「ユーロ圏に残留を」「緊縮策は打倒せよ」。ギリシャに対する金融支援を協議する22日の緊急のユーロ圏首脳会議を控え、ギリシャ国民の間には譲歩を政府に促す意見と、緊縮策を断固拒否すべきだとの意見が出ており、世論は割れている。国民に動揺が広がり、銀行からの預金引き出しが続く。

 アテネ中心部のシンタグマ広場。21日夜、EU側が求める年金制度や付加価値税の改革に反対する約7000人(警察当局推計)が集まった。「EU離脱」「金融テロへの抵抗」など過激なスローガンの横断幕も目立つ。

 「デフォルトは怖くない。今だって何もない」。失業中の元教師、エバゲリア・バコリさん(55)は国旗を振りながら、空っぽのポケットを指さした。

 一方、ユーロ圏残留しか生き残る道はないとして、先週は同じ広場で協議の早期妥結を求める数千人規模の集会が開かれた。

 16日発表の世論調査によると、国民の約6割が緊縮策を受け入れてでもユーロ圏にとどまることを希望。土産物店を営むスタブロス・ミハラケアスさん(50)は「国の将来のためには改革しかない。政府は現実を直視するべきだ」。観光シーズンを迎え、混乱を避けたいのが本音だ。

 29日が支払予定日の年金が受け取れるのかも分からず、国民の不安は募る一方だ。2011年初めまで2000億ユーロ(約28兆円)を超えていた民間預金額は今年4月、1300億ユーロ余りに。国内の銀行からは先週だけで約50億ユーロの預金が引き出された。(共同/SANKEI EXPRESS

 ■ギリシャ財政危機 2009年の政権交代をきっかけに危機的な財政状況が表面化。10年5月に欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が総額1100億ユーロ(約15兆4000億円)の1次支援を決めた。12年3月には民間債権者にも一部負担を求めた上で1300億ユーロの2次支援を決定。14年末までの予定だったEUの支援は2度延長され、今月末に期限を迎える。反緊縮財政を掲げる現政権とEUなどとの支援交渉は難航し、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥る懸念も高まっている。(共同/SANKEI EXPRESS

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