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ギリシャ支援 きょう5回目の財務相会合 根強い与党の反発 議会承認難航も
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6月25日、欧州連合(EU)首脳会議が開かれた首都ブリュッセルで談笑するギリシャのアレクシス・チプラス首相(左)、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(右)ら=2015年、ベルギー(AP) 欧州連合(EU)は27日、財政危機に陥っているギリシャに対する金融支援問題を協議するユーロ圏財務相会合を開く。18日以降、会合は5回目。EUによる支援の期限を30日に控え、ぎりぎりの調整が続く。ギリシャは30日までに国際通貨基金(IMF)に対する債務を返済しなければならず、協議は最終局面を迎えている。
ドイツのメルケル首相(60)は26日、27日の財務相会合は「決定的に重要だ」と発言。ロイター通信によると、オーストリアのゲオルグシェリング財務相も「28日がデッドラインだ」と指摘しており、週明け29日の市場取引開始前の合意が必要との認識だ。
29日の時点で合意に至っていない場合、ギリシャはIMFへの約16億ユーロ(約2200億円)の債務返済の資金を確保できず、デフォルト(債務不履行)の恐れが一段と現実味を帯び、市場が大荒れとなる可能性がある。
EU側とギリシャが合意しても、ドイツは合意内容に関する自国の議会手続きが必要なため、残された時間はわずかとなっている。
EU側はギリシャの基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標を国内総生産(GDP)比で当初の3%から1%に緩和し、双方は歩み寄りを見せた。
残る主な焦点は年金改革や付加価値税の引き上げとなる。25日まで4回開かれた財務相会合を通じ、ギリシャは富裕層や企業への課税強化など新たな財政再建案を提示。しかし、EU側は年金のさらなる減額や付加価値税の引き上げを求めており、溝は埋まっていない。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪根強い与党の反発 議会承認難航も ギリシャ金融支援≫
ギリシャ金融支援をめぐるEU側と同国の協議がどのような方向に進んでも、ギリシャ国民は引き続き緊縮策を強いられることになりそうだ。チプラス首相(40)率いる与党内では、EU側が迫る厳しい改革要求への反発がさらに強まっており、ギリシャ議会の承認手続きが難航する可能性もある。
ギリシャ政府は強硬姿勢で協議に臨んできたが、支援期限の6月末が迫っても協議はまとまらず、22日になってEU側に譲歩した改革案を提出した。
首相が公約とした「緊縮策破棄」を覆し、年金制度の見直しや付加価値税の増税などを含む内容で、与党内からは猛烈な批判が相次いだ。
与党議員の一部は「未熟で計画性のない交渉により、圧力がより強まった」とチプラス首相の戦略を非難。27日のユーロ圏財務相会合で国民に一層の負担を強いる改革案が合意されれば、議会で反対票を投じると警告しており、実際に支援が実行されるか曲折も予想される。
ギリシャの若年層の失業率は50%を超え、年金で家計を支える世帯も多い。EUやIMFが支援の条件とした緊縮策により過去約5年間で年金支給額は平均で25%減少したとされ、国民は「これ以上減らされたら人生が破滅する」「拳銃を突き付けられているようだ」と悲痛な声を上げている。
ただ、年金支出は依然EUの水準を上回っており、国民からは「支給年齢の引き上げなど抜本的な改革は必要」との声も上がる。(共同/SANKEI EXPRESS)