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【Q&A】イラン核合意 対話で脅威縮小 巨大市場に商機
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7月14日、イラン核協議が行われた首都ウィーン市内のホテルで、写真撮影に臨むイランのモハマド・ザリフ外相(中央)や関係国の外相ら=2015年、イラン(ロイター=共同) 欧米など6カ国とイランが、核問題を外交解決する最終合意に達した。
Q なぜニュースに?
A イランによる秘密裏の核開発が2002年に暴露されて以来、失敗を繰り返してきた交渉がようやく実を結んだ。中東各地で影響力を強めるイランが核兵器を持てば、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の活動が続く中東にとり、さらなる不安定要因となりかねない。対話を通じてこの脅威を縮小させた意味は大きい。
Q 何を合意したの?
A イランはウラン濃縮の規模を大幅削減するなど、核兵器を開発できないよう徹底した制限を受け入れる。そうした措置が実行されたのを国際原子力機関(IAEA)が確認して、欧米側が対イラン制裁を解除するという内容だ。
Q なぜ今になって合意できたの?
A ともに「対話」に重きを置くオバマ米大統領と、イランのロウハニ大統領の存在が大きい。1979年のイラン革命後に断交した両国が、両大統領の下で対話を始めた。約1年半の残り任期中に大きな外交成果を残したいオバマ政権と、制裁解除で経済を立て直したいロウハニ政権には共通の利益があった。
Q 制裁はいつ解除?
A 来年初めごろになるとの見通しが高まっている。米議会が9月下旬まで内容を審査した後、合意が発効し、履行プロセスに入る。制裁は解除されるが、イラン側に違反があれば再発動される仕組みだ。
Q 制裁解除の影響は?
A 各国企業が人口約7800万人の巨大なイラン市場に参入でき、日本企業も準備を急いでいる。特に日本車は「故障しない」とイランでも評判だ。庶民には高額だが富裕層には普及する可能性がある。イラン産原油の輸出再開は日本経済にとって朗報で、原油安につながると予想される。制裁下で老朽化した生産施設をどこまで整備できるかが鍵となりそうだ。
Q 政治的な影響は?
A 最も注目されるのは、敵対してきた米国とイランの関係改善だ。核協議を通じて対話の基盤はできたが、キューバと米国のように国交回復まで進むのは困難とみられる。イラン指導部は米国を「敵」と位置づけることでイスラム体制を維持しており、米国は、同盟国イスラエルへの武装闘争を続けるレバノンのシーア派組織ヒズボラなどを支援しているイランを「テロ支援国家」とみなしているからだ。
Q イランは変わる?
A 抑圧的と批判される現在の体制がすぐに変わることはなさそうだが、ロウハニ政権の穏健路線に対する国民の支持が高まるのは確実だ。ロウハニ師が今後どのように社会の自由を広げていくのかが注目される。
《米長官、共和議員らと激しい応酬》
ケリー米国務長官は23日、イラン核協議の最終合意について上院外交委員会の公聴会に出席し、制裁解除や査察体制をめぐり譲歩したと反発する共和党議員らに、合意を履行しなければ「イランによるウラン濃縮活動を許すだけだ」と反論、激しい応酬が交わされた。
イラン核合意についての初の公聴会で、制裁面で関わりを持つルー財務長官、核問題の技術的側面に詳しいモニズ・エネルギー長官も同席。審議は約4時間に及んだ。
米議会は今月20日から60日間の審査期間に入った。オバマ政権は議会承認を得るため全力を挙げる構えだが、上下両院で多数を握る共和党議員らは承認を阻止する意向を明らかにしており、曲折が予想される。
最終合意はイランの義務履行に応じて、経済制裁を解除することを定めている。公聴会では、コーカー上院外交委員長(共和党)が「(イランに)だまされた」と述べたほか、次期大統領選に出馬したルビオ議員(共和党)が「次期大統領は合意をほごにすべきだ」と批判した。
これに対しケリー氏は、イランの核開発を少なくとも15年間は阻止できるとした上で、制裁や軍事行動だけでは得られない成果だと指摘。「イランを屈服させればよいと考えるのは幻想だ」と述べた。ルー氏もイランのテロ活動や人権侵害に対する制裁は今後も継続するとして理解を求めた。(共同/SANKEI EXPRESS)