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【イラン核協議】最終合意 孤立脱する契機 米と関係緊密化も イスラエルは猛反発 「歴史的誤り」

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【イラン核協議】最終合意 孤立脱する契機 米と関係緊密化も イスラエルは猛反発 「歴史的誤り」

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イラン核問題の最終合意を「歴史的な誤り」と強く非難するイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相=2015年7月14日、イスラエル・首都エルサレム(ロイター)  欧米など6カ国とイランの核協議が14日、最終合意に達したことで、多くの関係国は歓迎の意を示した。当事者のイランは、最終合意により、国際的な孤立から脱する足がかりを得て、米国との関係緊密化が進む見方も。一方、安全保障上の観点からイランを強く警戒しているイスラエルは「歴史的な誤りだ」と強く反発。イラン核問題は、一筋縄では行かず、なお混迷が続きそうだ。

 今回の核合意は、イランのロウハニ政権が、国際的な孤立と経済的な苦境から脱するチャンスとなる可能性が高い。イランと米国は、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」対策で共闘関係を結んでおり、実質的な関係緊密化が進むとみられている。

 ロウハニ大統領は、2013年夏の大統領選で「経済制裁の解除」と「国際社会との融和」を前面に掲げて当選した。最大の課題となるのは、1979年のイラン革命後に断交した米国との関係改善だ。

 一連の核協議では、米国を「悪魔」と呼ぶ国内の強硬保守派への配慮を強いられつつも、対米強硬派のアフマディネジャド前政権時代に科された国連安全保障理事会決議による制裁や、欧米各国の独自制裁で疲弊していた国内世論から高い支持を獲得。こうした世論の動向をみながら、最高指導者ハメネイ師もロウハニ政権にお墨付きを与えてきた。

 経済改善に期待

 イランや欧米の外交関係が今後、どのようなペースで前進するかは不透明だ。ただ、人口7500万人超のイラン市場は、各国の経済界にとっては魅力的な存在で、制裁解除に伴って交流が進むことは間違いない。欧米各国が科してきた石油分野への制裁解除が進めば、物価高騰や通貨下落に苦しめられてきたイラン経済も改善に向かう。

 また、イランは現在、イラク政府への支援という形で対イスラム国軍事作戦に参加している。有志連合を主導する米国もそれを黙認している状態にある。今後のイスラム国掃討には、軍事・情報面でのイランの協力が大きな意味を持つだけに、米国としても実質的な共闘関係を続けていくものとみられる。

 サウジも危機感

 一方、イスラエルのネタニヤフ首相は14日、今回の最終合意を「歴史的な誤りだ」と切り捨て、猛反発の姿勢を鮮明にした。イスラエルに加え、中東での米国の重要同盟国であるサウジアラビアも危機感を募らせるのは必至。両国とも安全保障上、脅威となるイランの核武装化を強く警戒している。

 両国が今後、合意の履行段階でイランの核開発が十分に抑止されていないと判断すれば、域内の軍事的緊張が高まる可能性もある。

 「われわれは自衛の準備を続けなくてはならない」。イスラエルのヤアロン国防相は13日、こう述べ、最終合意後もイランの核兵器開発疑惑が払拭されるわけではないと強調した。

 ネタニヤフ政権はこれまで、イランには核兵器開発の意図があると主張して、単独でのイラン攻撃も辞さない姿勢を示してきた。核開発に携わるイラン人科学者らの暗殺もたびたび実行してきたとされる。

 イランは今回、核開発能力を大幅に制限することなどで合意したが、イスラエルは核協議のプロセスそのものに懐疑的で、今後も国際社会に向け、イランに対して強硬な態度を取るよう働きかけを強めるものとみられる。

 イスラム教スンニ派諸国の「盟主」を自任するサウジも、今回の合意を機にシーア派大国イランが対欧米関係を改善させ、域内での影響力を伸ばすことを強く警戒している。

 サウジは、イランを後ろ盾とするシリアのアサド政権排除を主張しているほか、今年3月以降はイエメンでシーア派系武装組織「フーシ派」を排除するための空爆を継続中だ。今後も各地でイランとサウジの対立が続くことは間違いなく、宗派間の緊張激化につながる懸念もある。(カイロ 大内清/SANKEI EXPRESS

 ≪岸田外相「中東安定につながる」≫

 政府は14日、イランが米国など6カ国と核協議で最終合意に達したことを歓迎している。イラン情勢が緊張緩和に向かえば、日本としても豊富な資源に恵まれるイランとの関係改善に取り組みやすくなるためだ。岸田文雄外相は「国際核不拡散体制の強化、中東地域の安定につながるものとして歓迎する」との談話を発表した。

 イランの核開発を理由に政府は、イラン金融機関との取引制限などを盛り込んだ経済制裁を実施してきた。米国の意向を背景にイラン産原油の輸入も減らしており、日イランの経済関係は一時期に比べて冷え込んでいるのが実情だ。欧米の動向を見極めながら、制裁緩和を含む改善措置の検討に入る公算が大きい。

 安倍晋三首相はイランとの連携強化に積極的とされる。昨年9月には同国のロウハニ大統領と米ニューヨークの国連本部で会談し、6カ国との核協議で歩み寄るよう促した。経済だけでなく、政治分野での関係発展も見込まれる。(SANKEI EXPRESS

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