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【アメリカを読む】クリントン氏のメディア規制に悪評

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【アメリカを読む】クリントン氏のメディア規制に悪評

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7月25日、米アイオワ州デモインで演説するヒラリー・クリントン前国務長官。その行く先々でメディア対応の悪さが常態化し、大統領への道を再び阻むリスク要因になりかねないと指摘されている=2015年(ロイター)  2016年大統領選の民主党最有力候補、ヒラリー・クリントン前国務長官(67)によるメディア対応の評判が悪い。都合の悪い質問を恐れているのか、陣営がジャーナリストがクリントン氏に接触しないよう過剰に規制しているからだ。

 聴衆の声シャットアウト

 クリントン氏が6月にニューヨークで開いた総決起集会。記者(加納)が聴衆から話を聞こうとして接触するたびに運動員が近寄ってきて制止した。

 「何をしているんですか! メディアはここでは取材しないでください」

 まるで行動を監視されているようだ。どのような基準でメディアを選択しているかは不明だが、産経新聞を含むいくつかの日本メディアは報道スペースに入ることを許可されなかった。仕方なく長蛇の列に並んで会場に入り、せっかくだからとクリントン氏を支持する理由についてコメントを取ることにしたのだが、今度は「メディアは報道スペースに入れ」と、わけのわからない指示を受けた。入るのを許されなかったから、会場で取材していたのだ。

 米中西部アイオワ州シダーラピッズで民主党候補による集会を取材したときにも、会場の外にいる支持者に話を聞こうとすると、判で押したように「コメントできません」という答えが返ってきた。

 陣営の広報担当者に接触してくれということだったが、「公式コメント」を取るのであれば現場に足を運んだ意味がない。クリントン氏が登場する集会をいくつか取材したが、いつも同じような息苦しさを感じた。

 「ロープ事件」を正当化

 シダーラピッズでコメントを拒否されたのは記者だけではなかったようだ。同じように支持者に接触した米主要メディアは「クリントン氏の支持者は報道陣にコメントすることを禁じられていた」と報じた。

 クリントン陣営は4日の独立記念日にニューハンプシャー州で開かれたイベントでは、ロープでクリントン氏に接触しようとする記者の行動を制限。また、代表取材の英紙記者による取材を拒否したりしてメディア側の顰蹙(ひんしゅく)を買っている。

 「報道のためではなく、有権者のために選挙運動をしているのです。報道がしなければならないことについては全面的に尊重しているが、人々と会い、話を聴く時間を持ちたかった」

 クリントン氏は7月上旬、CNNテレビによる全米放送のインタビューに初めて応じ、「ロープ事件」についてこう答えた。地元メディアの取材には応じていると強調した。

 ホワイトハウスの広報部長から陣営入りし、広報責任者を務めているジェニファー・パルミエリ氏もMSNBCテレビ番組でクリントン氏は有権者と接触する機会を増やすことを優先していると強調。「メディアの接近を認めたいが、それによってクリントン氏の選挙活動の障害になるようではいけない」とメディア規制を正当化した。

 2つのリスクのさじ加減

 「知事が集会の後にプレス・ギャグルに応じます」

 アイオワ州エイムズで共和党関連の集会を取材していると、党の大統領選有力候補、スコット・ウォーカー・ウィスコンシン州知事(47)の関係者が報道陣の席に近寄ってきてこう伝えた。プレス・ギャグルは、報道陣が要人を取り囲んでインタビューする、日本でいう「ぶら下がり取材」だ。

 ウォーカー氏の別の演説を取材した時にもウォーカー氏の陣営が取材機会があることを触れ回っていたところをみると、意図的にメディアと接する機会を増やしているのだろう。

 クリントン氏が08年大統領選の民主党候補指名争いでバラク・オバマ大統領(53)に敗れた一因は、オバマ氏への好意的な報道にあったとされる。今のところ、メディアを敵に回す行動ばかりがクローズアップされており、その反省は生かされていないといえる。

 確かに、メディアへの露出には危険が伴う。共和党のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(62)は連日、記者団からイラク戦争に対する見解を問われ、回答を右往左往させた結果、指導者としての資質を問われることになった。露出を控えればそのリスクはなくなる。

 ただ、クリントン氏は私用メール問題などを抱えているだけに、逆に逃げ回っている印象を与えるリスクがあるのも事実だ。そのさじ加減は難しい。(ワシントン支局 加納宏幸(かのう・ひろゆき)/SANKEI EXPRESS

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