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滅びの美学体現 浦井に高評価 舞台「トロイラスとクレシダ」

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滅びの美学体現 浦井に高評価 舞台「トロイラスとクレシダ」

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俳優の浦井健治さん(左)とソニンさん=2015年7月13日(細野晋司さん撮影、提供写真)  シェークスピアの問題劇とされ、過去の上演回数は少ない。悲劇と喜劇が混在し、原作は中途半端に終わる印象すらある。だが「こんなに面白い作品とは思わなかった」との声が多く寄せられ連日、盛況だという。演出の鵜山仁(うやま・ひとし)はじめ文学座のベテラン勢が脇を固め、主演の浦井健治が実力で応えて結果につながった。

 描かれるのは恋愛が大義名分となる戦争の顛末(てんまつ)だ。舞台となるトロイ戦争は、ギリシャから妃が奪われて始まる。トロイ王子トロイラス(浦井)が愛したクレシダ(ソニン)は、捕虜交換でギリシャに引き渡され、将軍ダイアミディーズ(岡本健一)に求愛される。

 女たちは敵と味方に翻弄され、生き抜くために愛した男を裏切る。真面目に恋と戦に励む男たちの姿は、時としてほほ笑ましくもおかしい。生々しく描かれる人間の本音は観客の共感を呼び起こす。

 その中で浦井は、「戦争に行きたくない」とぼやくうぶなトロイの王子が、クレシダを奪われた嫉妬で戦争に狂い、敗色濃厚となった終盤で滅びの美学を体現。振り幅の大きい役を演じきり、評価の高かった「アルジャーノンに花束を」のチャーリィ・ゴードン役をほうふつさせる。舞台回し役のパンダラス(渡辺徹)のそつのなさ、アクの強いギリシャ将軍アキリーズの横田栄司が印象に残る。

 セットは階段を模したすり鉢状で、俳優たちが客席に下りて演じるシーンもあるなど、中規模劇場の空間をうまく利用。ドラムやパーカッションの生演奏が全編を彩り、「実際のシェークスピア劇はこんなふうに上演されていたのでは」とも思わせる。(藤沢志穂子)

 【ガイド】

 8月2日まで、東京・世田谷パブリックシアター。

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