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着る人も、作る人も幸せになる服 mina perhonen
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最新作のコート「pot-au-feu(ポトフ)」の中には、2007年秋冬のワンピース「ceremony」を合わせた(展覧会「1∞ミナカケル」から)=2015年6月7日、東京都港区(三尾郁恵撮影)
鳥やチョウ、雨の滴などを手描きするデザインは、北欧の自然を思わせる。ほっこりした味わいが優しい気持ちを呼び覚ます「mina perhonen(ミナ ペルホネン)」が創業20周年を迎えた。先ごろ東京・青山で開かれた記念展「1∞ミナカケル」は大盛況だった。創業者でデザイナーの皆川明さん(48)は「100年続くブランド」を目指し、ファッションをきっかけにライフスタイルを提案、地方で自然と触れ合いながら自炊する「簡易宿泊所」の設立も夢に描く。
ミナ ペルホネンの本店は東京・白金台の裏通りに建つビル3階にある。オリジナル生地を使ったソファを置くなどぬくもりにあふれた空間だ。
近くには子供服のほか、生地も量り売りする「アルキストット」があり、ミナの雑貨を扱う東京・外苑前の「ピース,東京」と、3カ所をはしごする顧客が全国から集まる。ファン層は幅広く、お客さんもスタッフも幸せそうな笑みがこぼれている。
今年の秋冬のテーマは「コク」。20年間で培った経験や技術を生かし、ブランドの「いま」を表現する。その象徴がコート「pot-au-feu(ポトフ)」で、ウールをけば立てたカラフルなボンボンが無数にちりばめられた、手の込んだ仕立てだ。
ミナ ペルホネンの特徴はオリジナルの生地作り。皆川さんが協力先を探して国内外を歩き、妥協をしないものづくりを貫いてきた。例えば厚手のベルベットをカットしながら模様を織りあげるなど手間のかかる作業ばかりで、現場泣かせでもある。「布が動くきれいさを出したい。クオリティーとやり尽くす気持ちがあれば共感者は得られる。日本の職人の技術の良さを、産業として取り戻したいとの思いもある」と皆川さん。
トレンドに左右されない柄やデザインはいつまでも色あせない。服を作る過程で余った生地はバッグなどに利用する。その真摯(しんし)な姿勢が信頼を集めている。
「ミナ ペルホネン」とはフィンランド語で「私、蝶々」という意味。北欧や北極圏など、皆川さんが若い頃に回った旅の原風景がベースにある。1995年にアトリエを設け主にウィメンズのファッションを展開。雑貨や家具、食器なども手がけるようになった。並行して海外のブランドともコラボレーションするなど活動を広げている。
いまは総合ライフスタイルのブランドを目指す。「ファッションもリビングも、同じ視点を持って材料にこだわって作るのが自然な流れ。デザインはプロダクトに限らない。最終的にはサービス、ホスピタリティーのくくりの中でもできる」
その延長線上にあるのが「簡易宿泊所」だ。訪ねた人が、宿にほど近い畑や海などから収穫した自然の恵みを、自ら調理して食べるセルフキッチンつきのイメージだ。いまも時間をみつけては旅に出て、日常的にも料理の腕も振るう皆川さんがたどりついた夢だ。
「日常生活では自分でモノを作る時間がない人が多い。そんな人のために食材と、調理を手伝う人をそろえる。家に帰って『あの時やったことをやろう』と思えば生活は豊かになる。してもらうより、自分で何かした記憶は体に残るのでかえって楽しい。単に体を休めるのではなく、心が楽しくなる能動的な旅を体験してほしい」
5、6月にかけて東京・青山で20周年記念展「1∞ミナカケル」を開催。タイトルは「製品が生まれるまでには多くの人の技術や思いが掛け合わされている」との思いを反映した。子供から大人まで、大勢のファンが全国から詰めかけた。
「100年は続けたいとしても僕が関われるのは30年くらい。若い人たちにバトンを渡していく時間も必要だと思う」
社員の9割が女性で、子育て中の時短や子連れ勤務もありという柔軟なミナ ペルホネン。心が豊かな人たちが、着ると心を豊かにする服を作っている。(文:藤沢志穂子/撮影:三尾郁恵、荻窪佳/SANKEI EXPRESS)
※価格は税別です。