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もう手放せない 一生もののチノパン grown&sewn

 チノパンに特化したこだわりの米ブランド「grown&sewn(グロウン&ソーン)」が、日本でも人気を上げている。米国産のコットンで上質な生地を織り、丁寧な縫製で着心地の良さと機能性、トレンドを併せ持つ逸品。少し背伸びしてでも買いたい「一生もののチノパン」だ。「メード・イン・USA」にこだわり、デニムの持つベーシックの良さを表現したいと、素材からモノ作りまで全責任を持つ姿勢も共感を呼ぶ。商品の取り扱いが豊富なセレクトショップ「SHIPS」渋谷店(東京都渋谷区)を訪ねた。

 共同企画の限定モデル

 SHIPSではグロウン&ソーンと共同企画したメンズのチノパン「マッカーサー」の取り扱いを4月から始めた。

 1945年の太平洋戦争終結後、連合国軍最高司令官として来日したダグラス・マッカーサー元帥が身に着けていた、軍隊仕様のパンツがモチーフ。今年が戦後70年、SHIPSは設立40年を迎えることを記念した限定モデルだ。

 「マッカーサー」は、メンズの定番モデル「インディペンデント スリム」の上級品という位置づけで、通常のラインアップにはない特別な生地を使用。デニムのようにはける武骨さと、質実剛健さが際立つ。

 カラーはネービーとベージュの2色展開で、肌触りの良いコットン生地を丁寧に縫製。前ポケットは切り込みが深く、物を包み込んで落とさない。後ろポケットはステッチで縁取りされ、洗濯しても型崩れしない。裾は細身で、全体的にスマートなシルエット。腰回りにはゆとりがあって動きやすい。

 平均価格は2万円台とやや高め。だがファッションに敏感な人たちの間では「一度着たら手放せない」と、すでに『マストアイテム』になっている。

 メンズはネービーやベージュ、カーキ色などの無地が中心。ジャケットを合わせれば、ビジネス仕様にも対応できる。対してウィメンズはストライプや迷彩色など、おしゃれ感を出した色柄物が中心で、さまざまなコーディネートが楽しめる。

 新たなスタンダード

 グロウン&ソーンは、米ラルフ ローレンのデザイナーを務めたロブ・マグネスが2010年、ニューヨークのトライベッカに1号店をオープンしたことが始まり。程なく有名百貨店バーニーズ・ニューヨークで取り扱いも始まり注目される。

 ウィメンズは2014年春夏シーズンからスタート。現在はトライベッカの直営店ほか全米の著名な専門店、セレクトショップで販売。日本ではSHIPSはじめ複数のセレクトショップで取り扱いがある。

 パンツも得意だったロブがブランドを立ち上げたのは、アメリカのデザインとアメリカ人が作り出す衣料の双方の価値が低下していることに危機感を覚えたため。チノパンは、「チノ・クロス」と呼ばれるコットンをあや織りした生地で縫製されたパンツの一種で、19世紀中ごろに英仏の軍隊の制服に使われ、米国にも広がった。「自分のバックグラウンドを生かして、新しいアメリカンスタンダードを生みだしたい」と、歴史あるチノパンに再び活力を与えようとしている。

 「メード・イン・USA」のこだわりはブランド名にも表れている。グロウン(grown)はアメリカン・コットンの栽培から生地の縫製(ソーン=sewn)まで責任を持つという誇りが込められている。

 こだわりと自信

 SHIPSではファーストコレクションとなる2010年から取り扱いを始めた。単品だけに特化する「プロダクトブランド」はこの数年、若手デザイナーの市場参入の手法として増えてきたが、5年前はまだ珍しかった。「チノパン単品に着目する方針が珍しく、よほどのこだわりと自信があると思った」と担当バイヤーは振り返る。

 米国では「メード・イン・USA」の再評価が進む。「メード・イン・ジャパン」が見直されている日本でも、根底に流れる精神は同じ。米国ではデニムのシャツやジャケットなどの展開も開始しており、そう遠くない時期に日本でも展開される可能性がある。(藤沢志穂子、写真も/SANKEI EXPRESS

 ■SHIPS 渋谷店 東京都渋谷区神南1の18の1 神南1丁目ビル (電)03・3496・0481 午前11時~午後8時半 不定休

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