ニューヨーク発の「Ｓｅａ　Ｎｅｗ　Ｙｏｒｋ（シー　ニューヨーク）」は都会的なエッジーさ（鋭さ）と、肩の凝らないエフォートレスさを兼ね備えたブランドとして、幅広い世代に人気がある。２００７年に発足。当初はガーリーなかわいらしさが特徴だったが、時代とともに進化してきた。来日した創業者のショーン・モナハンさんとデザイナーのモニカ・パオリーニさんは「お客さまが欲しいと思うものを作りたい」と、今後はアパレル以外にも取扱商品を広げることを検討中という。

　７０年代ブーム、現代風に

　セレクトショップのバーニーズ　ニューヨーク銀座店にある「シー　ニューヨーク」のコーナーには、シンプルでいて細部にこだわる、着心地の良さそうなアイテムが並ぶ。チェックのノースリーブのワンピースは後ろの丈が長めと一風、変わった仕立て。裾に向かって白のペンキを散らしたようなぼかしが入る。ほかマキシスカート、白地のコットンシャツにデニム風のヒッコリーパンツとさまざまなスタイルが楽しめる。

　ファン層は銀座という土地柄もあって、１０～５０代までと幅広く、欧米人の観光客もよく立ち寄る。質の高い素材を使いながら価格は手ごろに抑え、ウエストにゴムを使うなど、体形をさりげなくカバーする仕立てであることも人気の理由だ。「いい意味での緩さと抜け感があり、この数年、ファッション業界のトレンドとなっているエフォートレスな心地よさを体現している。手持ちのアイテムに合わせやすいデザインである点も魅力」とバーニーズの担当者は言う。

　２０１５年のコレクションは「米映画『あの頃ペニー・レインと（Ａｌｍｏｓｔ　Ｆａｍｏｕｓ）』にインスパイアされたもの」とショーンさん。１９７０年代のロックミュージシャンとグルーピー（追っかけファン）との交流を描いた２０００年制作のヒット作だ。

　７０年代回帰は最近のトレンドで、ベトナム戦争への反戦ムードを背景にしたフラワームーブメントやヒッピー文化をもとに当時、流行したパッチワークや刺繍（ししゅう）、ミリタリールックなどを「現代風にアレンジしたの」とモニカさん。西海岸発だった当時の文化に、現代ニューヨークの「国際都市でエネルギーにあふれている」（ショーンさん）テイストをちりばめた。現在はマンハッタンでもファッション感度の高い地区として知られるキャナル・ストリートを拠点にしている。

　ガーリーからエフォートレス

　２人はともに１９７６年生まれの３８歳。ショーンさんは金融を学んだ後、欧米のＩＴやメディア関連業界を渡り歩く。勤務先の企業が買収されたことを契機に起業を決意。友人でジル　スチュアートなど有名ブランドのデザイナーとして働いていたモニカさんに声をかけ、２００７年に事業を立ち上げた。ブランド名は海（Ｓｅａ）が好きなショーン（Ｓｅａｎ）さんから語呂合わせしたものだ。

　ビジネスに精通したショーンさんは、モニカさんに教わりながらデザインも手がけるようになり、事業を積極展開。英国、ロシアなど欧州、香港などアジアにも進出した。それが０８年のリーマン・ショックを乗り切る原動力になったという。「米国内の売り上げが落ちた分を海外で相殺できた。米国のみの展開だったら難しかった」と当時を振り返る。

　危機を乗り切った後、事業がさらに拡大するとともにアイテム数も増えた。１２年頃はワンピースが全体の６、７割を占め、ガーリーなデザインが主流だった。次第にトップスとボトムス、パンツなどアイテムが増えていく。コットンなどカジュアルな素材も使うようになった。その結果、現在の「エッジーでエフォートレス」なテイストに行きついた。

　日本では１０年から展開、現在は全国の有名百貨店やセレクトショップなどで取り扱いがある。「カスタマー・ファースト（お客さま第一）」をポリシーとするショーンさんとモニカさん。「今後は靴や雑貨などにもアイテムを広げていきたい」と話している。（藤沢志穂子、写真も／ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ）

　■バーニーズ　ニューヨーク銀座店　東京都中央区銀座６の８の７、交詢ビル。午前１１時～午後８時（金土は午後８時半まで）。問い合わせはバーニーズ　ニューヨーク　カスタマーセンターフリーダイヤル０１２０・１３７・００７。

　※商品全般の問い合わせはブランドニュース　（電）０３・３７９７・３６７３。

　※価格は税別です。