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ブラジル発の注目すべきニュータイプ ジオゴ・シュトラウス、ファビオ・カドーレ
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ブラジル出身のシンガー・ソングライター、ジオゴ・シュトラウス(提供写真) 何度かこの連載でも紹介しているブラジル音楽。この国の音楽シーンに触れるたびに思うのは、伝統やローカル性を大切にしながら、常に新しいチャレンジをしているんだなあ、ということ。サンバやボサノバといった定番のジャンルも、進化し続けているのだから面白い。当然その背景には、続々と登場する若い才能がある。今回は、未来のブラジル音楽シーンを担うと思われる2人を紹介しておこう。
今、最も注目を集めるクリエーターとして、ジオゴ・シュトラウスの名前は外せない。2000年にロックバンドのメンバーとしてデビューするが、プロデューサーとしての才能を発揮。とくに、エレクトロなどのクラブ・ミュージック・シーンでは、一躍売れっ子のサウンドクリエーターやリミキサーとして評価を得た。
そして、満を持して発表したアルバムが「スペクトラム・ボリューム・ワン」だ。一聴するだけで異色作であることが分かるだろう。これまでにかかわってきたミュージシャンを中心に多くのゲストを迎え、あえてチープなシンセを使ったり、逆にフォークロアな雰囲気のアコースティックテイストだったりと、とにかく意表を突いたサウンドが次から次へと飛び出してくる。ハチャメチャなように見せかけながら、随所にジオゴらしいエッセンスをふりかけ、統一感のある作品に仕上げている。
その半面、ファビオ・カドーレの新作は、非常にシンプルですがすがしい作品だ。08年に発表したデビュー作が、ブラジリアン・シティーポップスといいたくなるような洗練された世界観で話題に。2作目の「インスタンチ」も、その発展系といったイメージだった。
しかし、3作目となる「アクト・ウン」は、アルゼンチンの鬼才ピアニストであるエルナン・ハシントを迎えたデュオだ。これまでのソウルフルなアレンジを捨て、ほぼピアノと歌というシンプルで、ストイックな編成。少し緊張感をはらみながら研ぎ澄まされた世界観を演出している。とはいえ、持ち前のポップセンスは健在で、美しいメロディーとメロウなボーカルはここでも際立っている。スタイル自体は目新しいわけではないが、ここまで新鮮に感じさせるのは、彼の持ち味に他ならない。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS)