SankeiBiz for mobile

印パ、無人偵察機めぐり応酬やまず

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

印パ、無人偵察機めぐり応酬やまず

更新

7月27日、インド北部パンジャブ州グルダスプールで、武装グループが警察署などを襲撃し、銃撃戦となった現場周辺を巡回する軍兵士=2015年(ロイター)  インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方で、「無人偵察機」の飛行をめぐり、両国が非難の応酬をしている。パキスタン側はインドが「領空侵犯」をしたとして証拠写真を公表したものの、インド側は真っ向から否定し、両国の緊張関係の火に油を注いでいる。

 領空侵犯と越境テロ

 ことの発端は、7月15日のパキスタン軍・外務省の発表だった。インドの無人偵察機がカシミール地方の実効支配線(停戦ライン)を越えて、パキスタン支配地域の上空に侵入し、航空写真を撮影していたと主張、無人偵察機は撃墜された。

 パキスタン側は墜落した機体の写真を発表し、駐パキスタン・インド大使を呼び出して、インドに強く抗議した。

 インドはすぐに反応した。外務省のスブラマニャム・ジャイシャンカル次官(60)はこの日、緊急の記者会見を開き「機体はインドで設計されたものではなく、インド軍が所有しているものでもない。中国で設計されたものとみられ、すぐに手に入るものだ」と述べた。

 それから10日余たった27日、インド北部のパキスタン国境に近いパンジャブ州グルダスプールで、3人からなる武装グループが警察署などを襲撃し、警官と市民計8人が殺害されるテロが発生した。

 インドのラジナート・シン内相(64)は、PTI通信に、パキスタンからの越境テロとの見方を示し、ラシュカレトイバなどイスラム過激派による犯行の可能性が浮上している。

 「証拠写真」を公表

 するとこの日、パキスタン軍が再び、インド批判を展開した。撃墜した無人偵察機から入手したとする写真を公開したのだ。インドの事務所内の様子やインド側の施設を上空から撮影したものが含まれており、無人機がインド支配地域からパキスタン支配地域に飛行してきた「動かぬ証拠」だとしている。

 インド側はこのパキスタン側の主張には、まだ公式に反応していないが、インド軍当局者は28日、PTI通信に対し、「まったくのでっち上げ」であり、「偽りの情報宣伝活動だ」と反論した。

 さらに、「テロリストがパキスタン側からグルダスプールを攻撃した日に、パキスタン軍は、インド側が実効支配線を越えて停戦協定違反をしてきたとの声明を出した。滑稽だ」とパキスタンを非難し、撃墜された無人機はインドでは販売されていないとの報道が中国でなされていると主張した。

 また、7月29日付のインド各紙によれば、27日に警察署を襲撃したテロ犯は、カシミール地方の実効支配線ではなく、パンジャブ州とパキスタン領の国境を越え、川を渡って侵入してきた可能性が高いことが殺害されたテロ犯から押収した全地球測位システム(GPS)機器の解析から判明したという。

 信頼醸成の動きに水

 テロ攻撃は、パンジャブ州の北方に隣接するインド支配地域のジャム・カシミール州では頻発しているものの、パンジャブ州での発生は異例のことだった。

 インド治安部隊高官は、ヒンドゥスタン・タイムズ紙に、通常の侵入ルートである実効支配線は、ジャム・カシミール州での警備が厳しく、テロリストらはパンジャブ州での国境越えを今回選んだのかもしれないとの見方を示し、パキスタンへの警戒心をあらわにした。

 インドのナレンドラ・モディ首相(64)とパキスタンのナワズ・シャリフ首相(65)は7月10日、ロシア中部ウファで1年余ぶりに首脳会談を行い、両国安全保障顧問によるテロに関する協議をニューデリーで行うことや、軍当局者間の会合を開くことで合意した。また、モディ氏が来年、南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議に出席するため、インドの首相としては12年ぶりにパキスタンを訪れることも決まった。

 それだけに、今回の無人偵察機騒ぎと越境テロ事件は、再開し始めた両国の信頼醸成の動きに水を差す結果となっている。印パ関係が改善しかけると、これに反対する動きが顕在化するという堂々巡りが今回も繰り返されている。(ニューデリー支局 岩田智雄(いわた・ともお)/SANKEI EXPRESS

ランキング