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円安寄与 上場企業の経常益37%増 4~6月期決算集計 

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円安寄与 上場企業の経常益37%増 4~6月期決算集計 

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2015年4~6月期連結決算を発表し、記者の取材に応じるシャープの高橋興三社長(右端)=2015年7月31日、東京都港区(共同)  上場企業の2015年4~6月期決算で、経常利益の合計が前年同期と比べて37%の大幅増益となっていることが3日、SMBC日興証券の集計で分かった。消費税増税の影響が一巡し、円安や原油安が輸出関連企業などの業績に寄与した。企業の収益体質が着実に改善していることを裏付けた。

 16年3月期の通期も経常利益の合計で14%増と、15年3月期実績を上回る見通しだ。しかし、個人消費は力強さを欠くほか、中国景気の減速など内外に懸念材料がある。企業業績が株高を牽引(けんいん)し日本経済を盛り上げるというアベノミクスのシナリオが続くかどうかは不透明だ。

 東京証券取引所第1部の上場企業で金融を除く1286社のうち、7月末までに決算発表を終えた587社(全体の約46%)を集計した。

 業種別で好業績だったのは、原油価格が大幅に下落し原材料コストが下がった化学企業のほか、訪日観光客の需要を取り込んだ航空会社などの空運や百貨店などの小売業界だった。

 自動車などの輸送用機器や電機業界も円がドルに対し20円程度安くなったことにより輸出の採算性が改善し、20%程度の増益だった。

 一方、中国の景気に関しては「道路を造るような商売は縮小し、自動車関係も(成長力が)落ちている」(日立製作所の中村豊明執行役副社長)など厳しい見方が出ている。機械業界は中国の建機需要の落ち込みなどが響き、16年3月期の増益率が2%以下にとどまる見通しだ。29業種中で7業種が減益見通しとなっている。

 ≪中国減速、消費伸び悩み 不安材料も≫

 上場企業の2015年4~6月期決算は改善傾向だが、中国など新興国の経済減速が響き、一部の電機や自動車メーカーの収益は伸び悩む。景気の鍵を握る消費も、好調なのは外国人観光客などに限られる。4~6月期の国内総生産(GDP)成長率はマイナスに陥るとの予想が大半で、日本経済の先行きは予断を許さない。

 急ブレーキ

 「ビザ緩和の効果もあり、旺盛な需要を取り込んだ」。日本航空の斉藤典和取締役は、決算発表の記者会見で満足そうな表情をみせた。

 中国人向けの観光ビザの発給要件緩和や、免税品の拡大が功を奏し、訪日客の消費は絶好調だ。資生堂も日焼け止めの「アネッサ」が中国人に人気で大きく売り上げを伸ばした。

 大手百貨店4社の7月の既存店売上高(速報値)は、前年同月比で全社が4カ月連続のプラスだったが、訪日客や国内富裕層の消費に支えられた面が大きい。

 頼みの中国では景気に減速感が出ており、地方政府の債務拡大で公共投資にも急ブレーキがかかった。中国向けの建機販売が大幅縮小した神戸製鋼所の梅原尚人副社長は「市場回復の動きが見えない」とため息をつく。

 経営難のシャープにも影響はおよび「液晶パネルは中国の成長鈍化で売り上げが減少した」(高橋興三社長)。他の新興国の経済も変調を来している。三菱自動車の幹部は「タイやロシア経済の停滞が続いている」と強調した。

 パナソニックは全体の業績が堅調だったが、国内の売上高は前年同期を下回った。河井英明専務は「太陽光パネルなど国内の住宅関連が出遅れた」と話す。

 ホンダは北米向けが好調だったが、ことし4月の軽自動車税増税が響き「国内販売は苦戦した」(岩村哲夫副社長)。スズキの担当者も「増税で非常に厳しかった」と振り返った。

 賃上げ効果見えず

 7月の国内新車販売台数(軽自動車を含む)は前年同月比7.6%減と7カ月連続で前年を下回り、減少幅は6月から拡大した。

 三菱総合研究所の森重彰浩エコノミストは「6月の天候不順も消費の足を引っ張った」と解説する。

 17日に発表される4~6月期GDP速報値は、主要な民間シンクタンクが、消費不振や輸出低迷を理由にいずれも3四半期ぶりのマイナス成長を予測している。

 第一生命経済研究所の新家義貴(しんけ・よしき)主席エコノミストは「企業の賃上げで消費を押し上げる効果は出ていない。訪日客の消費は地方に波及しておらず、中小企業は円安で原材料価格上昇に苦しんでいる」と説明。景気回復が大企業や大都市にとどまっている問題が背景にあると指摘している。(SANKEI EXPRESS

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