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インドネシア労組、賃上げ強気 50%要求「拒否なら大規模抗議」

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

インドネシア労組、賃上げ強気 50%要求「拒否なら大規模抗議」

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 労働者の賃金が上昇傾向にあるインドネシアで、今年もジャカルタの最低賃金をめぐる論争が巻き起こりそうだ。現地紙ジャカルタ・グローブによると、同国のインドネシア労働組合連合(KSPI)は来年の最低賃金(月収)として330万~370万ルピア(約2万9000~3万2600円)を要求するとみられる。実現すれば、今年の220万ルピアから50%以上の賃上げとなる。現地紙ジャカルタ・グローブなどが報じた。

 KSPIの要求が強気な背景には、インフレの進行で首都の生活費が上昇していることなどがある。同国では今年6月、政府が財政赤字の削減を目指して燃料補助金の引き下げを実施した。これによって燃料価格が44%値上がりし、インフレが加速。7月にはインフレ率が8.61%となり、4年半ぶりの高水準を記録した。

 また、インドネシアでは労働法に基づいて年に1度、労働者が健全な生活を送るのに最低限必要な月収を算出し、州ごとに適正生活水準値として発表している。今年のジャカルタ首都特別州の適正生活水準値は約400万ルピアと昨年の約198万ルピアから倍増した。

 KSPIはこうした数字を基に、燃料補助金を引き下げた6月以降で労働者の購買力は3割低下していると主張。物価上昇分も含めれば50%の賃上げが「最低ライン」だとの見解を示した。

 また、この最低ラインが受け入れられない場合は大規模な抗議行動も辞さないとの考えを明かしている。

 一方、ジャカルタ当局の幹部はKSPIの強気な要求に対し、今年の最低賃金が昨年比で44%引き上げられた結果、1万人の労働者が一時解雇されていると指摘。労働生産性の改善が進まないまま、大幅な賃上げが先行すれば、企業による一層の人員削減を招くだけだと警告を発した。

 さらに同幹部は、適正水準値の最低賃金を保証できない企業は水準値の低い州に工場を移すべきだとの見解を示した。ただし、同国では地方のインフラが未発達で工場の移転が困難という事情があることから、今後も中央政府に整備の加速を訴えていくとしている。

 ジャカルタの最低賃金は、労使双方と首都特別州の代表からなるジャカルタ賃金委員会での検討を経て、最終的に州知事が決定する。今後、労使の話し合いが始まれば議論が白熱するのは必至で、間に立つジャカルタ当局者が頭を悩ませることになりそうだ。(シンガポール支局)

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