3Dプリンターの国内需要【拡大】
ベンチャー企業支援のサムライインキュベート(東京都港区)が企画・運営で協力。担当する同社の安藤庄平氏は「施設利用者が刺激し合い、米IT企業を創業したような起業家が出てほしい」と話す。
矢野経済研究所は、大企業を中心に浸透し始めた3Dプリンターの裾野が、中堅・中小メーカーにも拡大し、15年度には関連事業者の売上高は77億円に伸びると予測する。
野村総合研究所上級コンサルタントの寺田知太氏は「大企業の下請けから脱却し、自ら最終製品を作って一般消費者のニーズを開拓する『自立型B to Cビジネス』に踏み出せる」と、3Dプリンターの活用を評価する。一方で「大手メーカーが3Dプリンターを使って自ら部品を作るようになれば、大企業に依存する中小メーカーの仕事が減りかねない」とも危惧する。
また、低価格化と小型化が進む3Dプリンターへの期待は高まっているものの、製作物のCAD(コンピューター支援設計)データを3Dプリンター用に変換する作業が欠かせないなど、ソフト面の対応が十分に認識されてない面もあるという。
寺田氏は「3Dプリンターバブル」を経て市場が求める「立体造形戦略」に収れんしていくと読む。普及が進む3Dプリンターを中堅・中小メーカーの経営に組み込む動きはまだ緒に就いたばかりだ。(臼井慎太郎)