製薬大手4社の2015年3月期連結決算が15日、出そろった。同日決算を発表した最大手の武田薬品工業が、米国の集団訴訟の和解金などで約3240億円を引当金として計上、1949年の上場以来初の最終赤字に転落した一方で、アステラス製薬とエーザイ、第一三共の3社は最終増益となった。ただ、営業利益はアステラス製薬が増益を確保したのに対し、主力薬の特許切れなどに苦しむエーザイと第一三共は減益となった。
アステラス製薬は主力の前立腺がん治療剤「イクスタンジ」の売上高が、前期比2.5倍の1372億円に拡大。国内は薬価引き下げや後発薬の普及で苦戦したが、北米や欧州が2桁の増収で業績を牽引(けんいん)した。
第一三共は米子会社の抗がん剤事業を減損処理して営業減益となったが、2008年に買収したインド子会社が他社に吸収合併され、簿価との差額を特別利益に計上したため、大幅な最終増益となった。エーザイは主力の抗潰瘍薬の特許が米国で13年に切れたことが響き、唯一の減収となった。