ソフトウエア開発のユニバーサルロボットは、法人向けにモバイル端末用の手のひらの静脈認証システム事業を立ち上げた。静脈は体内にあるため読み取りが難しく、高精度のセキュリティー効果が得られる。モバイル端末に標準装備されているカメラを使用して認識するため、専用装置などが不要となり低コストで導入できる。今年中に20社への採用を目指すとともに、将来はスマートフォンの普及が進むアジアを中心とした海外にも進出する。
「手のひら静脈ハイブリッド認証カスタムメイド対応SDK」は、モバイル端末の搭載カメラを用いて静脈認証をすることができる世界初の技術。手のひらの静脈のパターンと掌紋形状の2つの生体情報を組み合わせて認証する。1システム108万円。
モバイル端末のセキュリティー認証には、パスワードを用いるのが一般的だ。しかし約70%の人がIDやパスワードを複数のサイトで使い回しているという調査結果がある。それでいながら、約70%の人がパスワードの盗難を不安に感じている。
乱数表やワンタイムトークンを用いることもあるが、忘れたり紛失することもあり、ユーザーにとって利便性が高いとはいえない。しかし同社の認証システムは、特別な機器がいらないため使い勝手がいい。
同システムは、岩田英三郎社長が静脈認証技術の研究者と知り合ったことがきっかけとなり、2007年ごろから開発に着手。12年から大手企業で試験導入され約4万人が利用している。その間にも改良を加え、本格販売にこぎ着けた。これまでに10社と契約している。このほか金融、通信などを中心とした個人情報を取り扱う法人が関心を示している。
日本と比べてスマホの普及が進んでいるタイ、マレーシア、ベトナムなどの東南アジアのほか、韓国、中国への進出のため、今年中に現地での実証実験にも着手する。