JR東海は27日、2027年に東京(品川)-名古屋間の開業を目指すリニア中央新幹線について、同日に本格着工したことを明らかにした。最難関とされる南アルプスを貫く大トンネル(総延長25キロ)の一部で、大成建設などの共同企業体(JV)と契約を結んだ。工期は25年10月末までの約10年間。
着工したのは同トンネルの東端にあたる山梨県側の工区7.7キロ。今年3月から公募型の入札手続きを進めていたが、大成建設、佐藤工業、錢高組の3社によるJVが施工者に決まり、26日付で契約した。トンネル西端にあたる長野県側の工区8.4キロも今月から入札手続きを始めており、複数のゼネコンが応札するとみられる。
山梨、静岡、長野3県にまたがる南アルプストンネルは陸上の鉄道トンネルでは世界有数の規模。地表面からトンネルまでの深さが最大約1.4キロあり、地下水も多いことから「過去類を見ない難工事」(ゼネコン幹部)とされる。
JR東海は昨年12月、品川、名古屋の両駅で準備工事を開始し、資材置き場の整備などを始めていたが、本格工事は今回の南アルプストンネルが初めて。この日会見した柘植康英社長は「全線で最初の本格的な工事で、広い意味での着工といえる」と述べた。