電機業界の平成28年春闘の労使交渉が難航している。中国経済の減速の影響などで業績の先行きが不透明感を増していることを背景に、賃金を一律に引き上げるベースアップ(ベア)をめぐって膠着(こうちゃく)状態が続いている。組合側は月3千円のベアを要求しているが、満額回答は難しい情勢で、16日の一斉回答まで、激しい攻防が繰り広げられそうだ。
「交渉は過去2年と比較しても、非常に厳しい状況だ」。7日開かれた電機連合の第3回中央闘争委員会で、有野正治委員長は今年の労使交渉の難しさをこう表現した。
2年連続のベアを勝ち取った昨年と一昨年は、企業業績の好調に加え、「経済の好循環」を目指す政府の後押しもあり、賃上げに向けた機運が盛り上がった。しかし、今年の経営環境は過去2年とは明らかに異なっている。
構造改革を実施し、ようやく業績が回復してきた富士通やNECのほか、電機業界の好調を牽引(けんいん)してきた日立製作所やパナソニックも通期の業績予想を下方修正した。
7日の委員会では、傘下労組から経営側との交渉状況が報告された。その中で「2年連続の大幅な賃上げを踏まえると、これ以上は難しいとの発言もあった」(富士通労組幹部)といい、労使間の溝の深さをうかがわせた。