三菱重工業の事業再編が急速に進んでいる。強みのある事業分野でM&A(企業の合併・買収)による規模拡大を進め、グローバル競争に勝ち抜く企業群を構築する狙いだ。宮永俊一社長自らが旗振り役となり、選択と集中を急ぐ。(黄金崎元)
「事業統合で、シナジー(相乗)効果を創出し、事業を拡大したい」
三菱重工のフォークリフト事業などの統括会社、三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングス(MFET)の前川篤社長は6日の会見でこう意気込んだ。
三菱重工は3月にフォークリフト世界8位のユニキャリアホールディングスを、官民ファンドの産業革新機構から買収。傘下で同世界6位のニチユ三菱フォークリフトとの合計で、世界3位に躍り出た。
経営統合は当面見送るが、調達や開発などを一本化しコストを削減。平成32年度に売上高1兆円、本業のもうけを示す営業利益を1千億円とし、シェア首位の豊田自動織機を営業利益で抜く考えだ。
産業革新機構の志賀俊之会長は「日本は再編が少なく、企業数が多すぎる。健康体の時こそ統合を進めるべきだ」と指摘する。同一業界で多くの企業が存続する日本に比べ、海外では積極的なM&Aによる企業規模の拡大競争が進む。「シェア上位の3社しか生き残れない」とも評されるグローバル競争下で、相対的に日本企業の競争力は失われつつある。